会社法が平成18年に施行され、株式会社設立のための1000万円とされていた最低資本金制度が撤廃され、法人化を行うことが初期費用の面からは負担がかなり軽減されました。また、有限会社の廃止、合同会社という新しい形態の会社も規定され、会社を設立しようという方には多くの選択肢があります。しかし、会社の機関の設計や細かな規則の同時に制定されましたので、どのような目的のためにどんな機関設計がよいのかを事前に十分検討する必要もあります。
赤ちゃんの誕生は親にとって何よりもうれしいことです。一生、その子が背負っていく名前を一生懸命に考え、夜泣きの睡眠不足に耐え、初めて一人で立ったとき、歩いたとき、言葉を話したときのうれしさは子供を持つ人であれば分かりますよね。
法律上、権利や義務の主体となれるのは人(自然人といいますが、ひらたく言えば人間です)と法人です。ですので、いくらかわいいペットでも法律上は<モノ>であり、法律主体とはなれません。
ある人が、『自分以外の権利義務主体をつくり出そう』と思った場合、子供をつくることで可能になります。・・・なかなか、そう簡単な話ではないですし、時間もかかりますね。ですが、会社法という法律に基づき、会社の本店所在地を管轄する法務局に会社設立登記を行えば、<法人>という自分以外の権利義務主体をつくることができます。
会社を設立する、ということは権利義務の主体をつくり出すという点において、赤ちゃんが生まれるのと同じようにとても責任があり、そして感動的なことなんです。
会社設立にあたって、すでに個人事業主として事業を続けていた方も多いと思います。
個人事業の場合はあくまで個人が権利義務の主体となっていますので、事業用資金の借入をしたとしても事業者個人の借入となります。しかし、会社を設立することで法人という別の権利義務の主体ができます(代表者が個人であっても法人は別物です)。
つまり、会社という別の人格で事業用資金を借りれば、その借入は会社の借入であり、その責任は会社のみが負担することになり、代表者自身が自分の財産をはき出して負担をすることはありません(代表者個人が保証人となっている場合は保証契約により、支払義務を負います)。
会社設立の一番のメリットは、個人事業であればその個人が無限に責任を負うことに対して、法人であれば法人の有する財産の限度で有限に責任を負うという点といえるでしょう。
といっても、現実には代表者個人が会社の債務を保証することも多く、また法人の取締役などに個人がなれば、一定の責任を負うことになりますので、むしろ税制面や経理面でのメリットを重視して会社設立をされる方の方が多いでしょう。
会社設立のメリット | 会社設立のデメリット |
○ 給与所得控除を利用できる ○ 所得の分散ができる ○ 社会的信用がアップする ○ 経営者の退職金を必要経費にできる ○ 経営者の生命保険料を必要経費にできる ○ 消費税が最大2事業年度免税になる ○ 株式移転による相続税対策ができる ○ 決算期を自由に選べる ○ 赤字を7年間繰り越せる ○ 銀行融資を受けやすい ○ 返済不要の助成金を活用しやすい ○ 事業を継続しやすい ○ 社会保険に加入できる ○ 経理を会社と個人とを分けて明確にできる ・・・など |
× 交際費が全額必要経費にならない × 法人住民税の負担が増える × 社会保険料の負担が増える × 設立費用がかかる × 経理の手間や事務負担が増える × 維持運営コストがかかる ・・・など |
この表は一般的に言われる会社設立のメリット・デメリットをまとめたものですが、事業をこれから将来も続けていき、自分が引退したとしても事業の継続と成長を希望するならば、会社を設立するメリットはあると思います。また、平成18年5月に施行された会社法により、株式会社の最低資本金制度が撤廃されたため、設立費用の初期費用が抑えられ、株式会社の設立は行いやすくなりました。
会社を設立しようとする場合、まず最初に決定しなければならないのが会社の種類です。会社には 合名会社・合資会社・株式会社・合同会社 の4つの種類があります。(有限会社は会社法施行により、これから新規に設立することはできなくなりました。)それぞれの会社の特徴は次のとおりです。
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以上、4つの会社の種類の特色をまとめてみましたが、自分にはどの会社がいいの?というのは会社を設立しようとされる方によるので一概には言えません。ただし、会社法の施行によって株式会社の最低資本金制度が撤廃されましたので、対社会的なネームバリューなどを考慮すると株式会社を設立する選択が多いのは事実でしょう。
株式会社の次に選択肢となり得そうな合同会社をそれぞれ詳しく比較してみました。
メリット | デメリット | |
株 式 会 社 |
○ 一般的になじみがあり、 企業としてのイメージがよい ○ 最低資本金制度の撤廃により 設立がしやすくなった (以前は最低資本金として1000万円が必要) ○ 株式を発行すれば第三者から 出資を広く募ることができる |
× 設立費用と維持費用が 他の会社形態に比べて大きい → ・設立時 公証役場にて定款認証が必要 (約5万円) 設立登記の税金 (最低15万円、合同会社は6万円) ・設立後 決算公告が義務付け。 公告の方法を官報でする場合は 毎年6万円程度 × 役員の任期があるので、 その都度に役員変更登記が必要 → 任期は原則2年だが、 最長で10年とすることもできる |
合 同 会 社 |
○ 設立費用と維持費用が株式会社に 比べて安い ○ 決算公告の義務がない ○ 役員の任期の定めをする必要がなく、 役員の辞任や氏名変更・死亡 といった場合以外では 役員変更の登記が不要 |
× 合同会社という言葉の認知が低い × 意思決定の対立があった場合には まとまらない (全員一致が原則のため) |
司法書士事務所尼崎リーガルオフィスでは、会社を設立するにあたり、依頼者の方にとってどのような会社の種類がふさわしいのか、どのような思いで、会社を設立したいのかを十分に打ち合わせをして進めていきます。
また、会社設立後の企業法務(債権回収、会社設立後の登記、簡易裁判所での裁判代理など)についても適切にご提案を続け、社長となる依頼者の方を将来に渡ってサポートしていきます。
対応可能地域:兵庫県尼崎市、伊丹市、西宮市、川西市、猪名川町、宝塚市、芦屋市、神戸市(全域)大阪府大阪市(全域)、池田市、豊中市、箕面市、吹田市 上記以外の地域でも対応可能な場合がありますのでお問い合わせください。 ※手続きの受任に際しては、事務所または依頼者の方の指定する場所で司法書士との面談が必要となります。司法書士が出張する場合で原則として往復1時間以上要する場合には交通費実費と日当が加算される場合がございます。 |