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過去のブログEx-Blog ※過去の司法書士日記(ブログです)

司法書士事務所尼崎リーガルオフィスの司法書士と事務員の日記です(不定期更新)。
法律ネタや司法書士実務の解説、日常の出来事、好きな音楽・好きな本、その他・・・。

2013年12月

■2013年12月10日 合格者研修@近畿司法書士連合会

毎回このブログを書くとき、時の経つ早さを感じます。しかも、気づけば更新が・・・遅々としています。

12月7日から、平成25年度司法書士試験合格者のうち、近畿地区の方に対する研修が始まりました。10時から18時頃まで、土日を中心に合計13日間新大阪のホテル内会議室で開催されます。

当方も今年からこの研修の運営側に携わっておりますが、おとといは模擬裁判の裁判官役を演じてきました。設定が、「ベテラン裁判官」とあるのには無理がありましたが。。原稿を見ながらで無難に終わったように思います。

司法書士が試験に合格すると、各単位会(大阪司法書士会や兵庫県司法書士会などが主催)独自の研修、上記の近畿地区対象の研修(近畿司法書士会連合会が主催)、全国を東西に分けての中央新人研修(日本司法書士会連合会が主催)、さらには簡裁代理認定という資格を取得する要件としての特別研修と3月くらいまで研修漬けの日々となります。

私も7年前にこれらを受講しました。それこそ時間が経つのは早いもんだ、と懐かしく思いました。

試験合格直後の新人として受講したとき、それなりに真剣に聞いてはいたものの、やはり実務をしないとイメージの湧かない内容でした。
むしろ、これら一連の研修は実務を一通り行った既会員に対して有意義だと思いますが、新人合格者に対しても必要であることは確かです。実務と照らし合わせての理解は難しいでしょうが、言葉だけでも聞き洩らしのないよう受講していただきたいです。

・・本音を言えば、この研修の期間に知り合えた同期合格者とのつながりを持つことが、これから続く司法書士業の大きな力となります。合格して、実務を行う前の素直な気持ちを大切に、どんな司法書士になりたいかを友人とじっくり語ることもお忘れなく。


 ■2013年12月11日 特例有限会社から株式会社への移行

私たち司法書士が行うメイン業務は
登記です。債務整理(過払請求、自己破産等)や成年後見、簡裁における一般訴訟も司法書士が行う業務として大きな割合を占めるようになってきましたが、いずれもこの10年くらいに発展してきたもので、140年を超える司法書士制度で言えば不動産登記・商業登記が司法書士の中心業務であることは間違いありません。

余談ですが、司法書士は真面目だと思います(唐突ですね)。人の性格は育った環境に影響されるわけですが、例えば弁護士は依頼者の主張をできる限り裁判所に対して認めてもらうことを執務姿勢にしていると感じます。主張に対する立証ができて裁判には勝訴するのですが、立証できるかどうかやってみないと分かりません。その点、司法書士は登記業務において<取りあえずやってみる>という発想は持っていません。訴訟を扱う裁判所は、主張と立証 の世界ですので、<取りあえずやってみる>は方法としてありますが、登記を扱う法務局は不動産登記法や商業登記法、先例・通達に従って、それらに定められた書類を求めてきます。裁判官はなされた主張に対して心証を形成することができますが、登記官は形式的審査権、つまりは提出された書類についてのみしか審査ができないのです。そのため、司法書士は自由な発想を持たず、決まった(決められた)事項に沿って執務する性格になっているのだと思います。

ということで、現在当方で行っている特例有限会社から株式会社への移行に関して、いくつか自分用のメモを・・

■特例有限会社の通常の株式会社への移行は、商号中に株式会社という文字を用いる定款の変更に係る株主総会の特別決議を行った後、本店の所在地において移行の登記をすることにより、その効力を生ずる

■通常の株式会社への移行の効力発生日(移行の登記申請日)に役員、発行可能株式総数、監査役設置会社である旨、確認有限会社の解散事由その他の登記事項の変更が生じた場合(停止条件付株主総会決議をした場合等)には、上記の商号の変更後の株式会社についてする設立の登記申請書において、変更後の登記事 項(変更後の役員の氏名等)を直接記載することができる。※設立の登記であるため、申請書に、重任等の変更原因を記載することもない
この場合には、特例有限会社の登記記録は閉鎖されるため、従前登記された事項(移行時に辞任する従前の役員等)につき、変更により抹消される記号は記録されず(辞任の登記等はされず)、その変更の経緯は、閉鎖された特例有限会社の登記記録と新たに起こされた株式会社の登記記録とを対照することによってのみ把握することができる

■基本的に、効力発生日が同一の日である限り、あらゆる登記事項の変更につき、変更後の事項を株式会社の設立登記申請書に直接記載できるが、次の変更については直接記載することが予定されていない(=別申請となる)ので、留意が必要
本店移転の登記
→移行後の株式会社の登記記録には、特例有限会社の商号は登記されるが、本店は登記されないところ、株式会社の登記記録に移転後の本店が直接記録されると、当該登記記録から、商号変更前の特例有限会社の登記記録を探索することができなくなるため
ある登記所において初めてする支店設置(移転)の登記
→当該支店の所在地の登記所においては、特例有限会社の既存の登記がなく、その解散の登記をすることができないことから、会社法整備法136条21項に反するため
ある登記所において営業所が存しないこととなる支店廃止(移転)の登記
→当該支店の所在地の登記所においては、特例有限会社の登記記録を閉鎖することとなり、株式会社の設立の登記をすることができないことから、会社法整備法136条21項に反するため

■通常の株式会社への移行の登記申請書を郵送で行う場合、その到着日が前後することにより、株式会社の設立の登記の年月日とその他の登記事項の変更の年月日が異なる事態が生じ、登記の事由及び登記すべき事項を各別に記載し、それぞれの登録免許税の納付を要することもあり得るので注意が必要

個人的に、取引先との契約関係で必要が生じた場合以外に有限会社から株式会社への移行にあまり意味を見出せませんが、登録免許税の節約になる場合も変更事項によってはありそうです。また、役員変更等の辞任・就任のタイミングを考慮しないと余計な登記申請が生じてしまいますので、スケジュール組みが重要です。

 ■2013年12月11日 民法の一部改正(嫡出子でない子の相続分)施行に伴う不動産登記の取扱い

最高裁平成25年9月4日決定により、民法900条4号但し書きで規定していた
【嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の2分の1とする】部分については憲法違反と判示され、結果本日12月11日から当該部分を改正し、【嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同等とする】と規定されました。

これは大きな改正で、現実として法定相続割合が変更となるため、影響を受ける方も多いはずです。改正法では、最高裁決定のあった日の翌日である本年9月5日以降に開始した相続について適用するとしています(9月4日以前に開始した相続については何らの規定をしていません)。

不動産登記についていえば、本年9月5日以後に開始した相続を原因とする申請については、改正後民法の規定を適用して事務処理をすればよいことになります。
問題は、本年9月4日以前に開始した相続についての取扱いです。

改正民法の規定では、本年9月4日以前に開始した相続については何らの規定はしていませんが、最高裁決定においては
「本件規定は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法4条1項に違反していたものというべきである」旨が判示されるとともに、先例としての事実上の拘束性についても判示され、「憲法に違反する法律は原則として無効であり、その法律に基づいてされた行為の効力も否定されるべきものであることからすると、本件規定は、本決定により遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判断される以上、本決定の先例としての事実上の拘束性により、上記当時以降は無効であることとなり、また、本件規定に基づいてされた裁判や合意の効力等も否定されることになろう」とされつつ、「本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない」とされています。

では、法務局においてどのように取り扱うのか?については以下のような通達が出されました。

ア・本日(改正民法施行日である12月11日)以降にされる不動産登記等の申請(代位によるものを含む)もしくは嘱託、又は本日現在において登記もしくは却下が未了の申請等であって、平成13年7月1日以後に開始した相続における法定相続(遺言や遺産分割等によることなく、被相続人の法定相続人となったこと自体に基づき、民法の規定に従って法定相続分に応じて不動産等を相続したことをいう、以下同じ)に基づいて持分その他の権利を取得した者を表題部所有者または登記名義人とする登記をその内容とするものについては、嫡出でない子の相続分が嫡出である子の相続分と同等であるものとして事務を処理するものとする。

イ・本日以降以降にされる申請等または本日現在において登記もしくは却下が未了の申請等であって、平成13年7月1日以後に開始した相続における法定相続以外の遺言や遺産分割等に基づいて持分その他の権利を取得した者を表題部所有者または登記名義人とする登記をその内容とするものについては、当該遺言や遺産分割等の内容に従って事務を処理すれば足りる。

ウ.本日以降にされる申請等または本日現在において登記もしくは却下が未了の申請等であって、平成13年7月1日以後に開始した相続における法定相続に基づいて持分その他の権利を取得した者を表題部所有者または登記名義人とする登記に係る更生の登記をその内容とするもの等、上記ア・イ以外の申請等については、当該申請等に係る登記の原因に応じて、当該登記の内容が上記最高裁決定の判示する「本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係」に基づくものであるかどうか等を判断し、事務を処理するものとする。

明確な点は、9月5日以降に開始した相続についてです。改正民法のとおり、嫡出の如何を問わずに同等に扱うだけです。
ただ上記ウに記載のような例では、結局は実体判断によるものとなりますので、個々の事案の精査が必要となりそうです。


 ■2013年12月13日 会社の定款に一工夫を・・・

今年もあと少し…。そうすると、年賀状の作成が宿題のようにやってきますね。
ここ数年、自宅の年賀状はインターネットでデザインを選択してます。住所録も去年からパソコンに取り込んでるので、引越しされた方等の変更をすればよいだけです。司法書士業務の関係でも同様ですが、、でも大変!25日までに出しましょう~の声が聞こえてくると、夏休みの宿題を8月31日にやったような気持ちになります。

本題ですが、来年1月に中学時代からの友人が株式会社を設立することになりました。私がその手続きをさせていただくことになり、新たしい門出に立ち会えて嬉しい限りです。会社は、「法人」と言われますが、まさに法律に基づいて人格を持った組織なのです。法律上、権利義務の主体となれるのは原則として自然人のみですが、会社法に基づき会社を設立して商業登記法により法務局に登記をすることで、法人も権利義務の主体となれるため、会社の設立登記申請は赤ちゃんの誕生とおなじくらい大切な手続きだと思っております。

会社の基幹となるルールを決めたものが
定款です。定款に何を書かなければいけないのか?については会社法に規定されていますし、インターネットで検索をすれば<サンプル>的な定款はわんさか出てきます。

会社の設立登記にあたっては、先ず機関設計(取締役会や監査役を設置するのかどうか)、資本金、本店、商号等の型どおりの事項を決めていきますが、これらの聞き取りだけで<サンプル>定款であれば作成は可能です。ですが、せっかく法人がこの世に生まれてくるのに<サンプル>通りの定款では寂しい気もいたします。もし、赤ちゃんが生まれるとなればどんな子に育って欲しいか、名前はどうしようか、と親であれば悩むはずです。「今年の一番はやりの名前にしとこうか」と自分の子に命名する人はまずいないでしょう。

定款については、書かなければならない事項は決められていますが、書いてはいけない事項は特にありません(もちろん公序良俗に反する事項や民法その他法規に抵触する事項は記載できません)ので、当方では理念や気持ちを定款に書いていただくことを提案しています。

会社を設立するにあたって、どんな理想を持って仕事にあたるのか仕事を通じて何を得たいのか。仮に「儲かればそれでいいねん」という場合でも、どうすれば儲かるのか、の考え方が理念になるはずです。実際に、当方で手続きをさせていただいた会社でも定款に理念を入れていただいた方は多いです。

有名企業でも次のような条項を定款に記載しておりますので参考に紹介いたします。

■株式会社**(建設業)
(法令順守及び良識ある行動の実践)
当会社においては、役職員一人一人が、法令を遵守するとともに、企業活動においては、刑法及び独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に違反する行為など、入札の公正、公平を阻害する行為を一切行わない。

■株式会社***(医薬品開発・販売業)
(企業理念)
1.本会社は、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念と定め、この企業理念のもとヒューマン・ヘルスケア企業をめざす。
2.本会社の使命は、患者様満足の増大であり、その結果として売上、利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考える。
3.本会社は、コンプライアンス(法令と倫理の遵守)を日々の活動の根幹に捉え、社会的責任の遂行に努める。
4.本会社の主要なステークホルダーは、患者様と生活者の皆様、株主の皆様及び社員である。本会社は、以下を旨としてステークホルダーの価値増大をはかるとともに良好な関係の発展・維持に努める。
 ①未だ満たされていない医療ニーズの充足、高品質製品の安定供給、薬剤の安全性と有効性を含む有用性情報の伝達
 ②経営情報の適時開示、企業価値の向上、積極的な株主還元
 ③安定的な雇用の確保、やりがいのある仕事の提供、能力開発機会の充実

いかがでしょうか。こういった理念は、多くの会社にもあると思いますが、定款に入れ込むと対外的な表明になります。また、定款変更には株主総会を開催しての特別決議が必要になるため、簡単に変えることもできません。会社をつくる人の決意をこのような形で定款に入れる意義を感じていただきたいと思います。


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