■2013年11月18日 賃貸時の心理的瑕疵の不告知 11月も後半、今年も残り…と数える時期になりました。 先週土曜日には、東京の日本司法書士会館にて、後見に関するシンポジウムが開催され運営側として行ってきました。 テーマは、「成年被後見人が受ける170を超える権利制限」ということで、今年5月に公職選挙法が改正され、成年被後見人に選挙権が付与されることなったことを取り上げ、その他にも170を超える権利制限が法令上存在することをシンポジウム形式で行ったものです。大変内容のあるもので、改めて日記にも書きたいと思います。 さて、10月28日に神戸地裁尼崎支部(当方事務所から一番近い裁判所です)にて、居室内で入居者が自殺した可能性が高い部屋であることを賃借人に告げずに契約した家主(家主の職業は弁護士です)に対して、104万0692円の損害賠償金を支払うことを命じた判決がなされました。 判決によると、家主は2011年5月に競売でマンションの1室を取得。同月、入居者が物件内で死亡したが、これを説明することなく、2012年8月から2014年8月までの賃貸借契約(1か月あたりの賃料は8万円)を原告である入居者と締結しました。 原告は妻とともに居住を開始しましたが、その後、近隣住民から自殺があったことを伝え聞き、居住することができないとして9月に契約を解除しました。 家主は、競売による取得時に、明渡や残置物の処分は業者に任せたため自殺があったという報告は受けておらず、自殺があったという事実を否認しました。 しかし、判決では業者にリフォームを指示したのは所有者である家主本人であり、心理的な瑕疵の存在を知らないことは考えられず、損害賠償責任を負うものと認めました。また、礼金(家賃の3ヶ月分である24万円)、8月と9月の賃料合計8万7742円、仲介手数料2万1000円、賃貸保証委託料3万2000円、住宅保険料2万6700円、「暮らし安心サポート24」の費用、防虫消毒費などは、この物件での賃貸借契約を締結していなければ入居者が負担する必要のなかったものであり、家主側の説明義務違反によって生じた損害と認められるとし、さらに引越費用やエアコンの工事費用も転居を余儀なくされたため発生した費用であり、因果関係のある損害と認めました。 法律上、損害賠償は不法行為が存在し、それと因果関係のある具体的な損害に対して賠償するものです。 この判決から、所有者である家主に対する高度な説明責任義務があることが分かります。また、引越しに伴う実費が全額損害として認められていることは注目すべきかと思います。 居住物件について規定する借地借家法はもともと借り手側の権利保護を規定した趣旨があります。また、消費者契約法も一般市民である消費者(=入居者)を保護する趣旨であり、貸し手側も十分な説明がなお一層必要であることを認識することが大切ですね。 |
対応可能地域:兵庫県尼崎市、伊丹市、西宮市、川西市、猪名川町、宝塚市、芦屋市、神戸市(全域)大阪府大阪市(全域)、池田市、豊中市、箕面市、吹田市 上記以外の地域でも対応可能な場合がありますのでお問い合わせください。 ※手続きの受任に際しては、事務所または依頼者の方の指定する場所で司法書士との面談が必要となります。司法書士が出張する場合で原則として往復1時間以上要する場合には交通費実費と日当が加算される場合がございます。 |