■2013年7月3日 使用者責任の問題 今年5月から、兵庫県司法書士会の研修担当理事になりました。 ・・・毎日大変です。ここだけの話ですが、事務的な手続がけっこう手間がかかり・・・。でも色々な講師の方と接触できるのは新鮮ですね。 力強くサポートしてくれる研修部長や研修部員の皆様と一緒によい企画をつくっていきたいです。 さて、今日は使用者責任についてです。 経営者や雇用者(使用者)の立場の方は、従業員の業務をどこまで管理・把握されているでしょうか? 会社にいる間は、指示をして然るべき業務執行をしていると思いますが、従業員が自動車やバイクで通勤している場合に事故を起こした(加害者側)!となった場合、経営者や雇用者は責任を負うのか、の話です。 民法715条には【使用者責任】の規定があります。使用者は従業員を使用することによって自己の利益を得ているため、その利益を得る過程で従業員が第三者に損害を与えた場合には使用者も責任を負うという考え方です。 ただ、どのような場合でも使用者が従業員の損害を負うというわけではなく、 1.使用者と事故を起こした者の間に、「ある事業のために他人を使用する」関係が必要 雇用関係にある場合はこれに該当します。また、雇用関係になくとも、実質的に一方が他方を指導監督して仕事をさせる関係があれば、 これに該当します。継続的な従属関係にある請負契約の委任者と受任者がそうです。 2.その損害が「事業の執行」について起きたこと 雇用関係にある従業員が、休日にレジャーでドライブをして事故を起こした場合は、事業の執行ではないので使用者責任は生じません。 運送会社の従業員が配達中に事故を起こしたという場合は典型的な事業の執行ですので、使用者責任が発生します。 そこで、前述の自動車通勤・バイク通勤の途中で、従業員が事故を起こした場合の使用者責任は発生するでしょうか? 判断基準は、「事業の執行にあたるか」です。裁判例の傾向として、「自動車・バイクでの通勤を使用者が容認、助長していたか」がその判断材量となっている例が多いようです。 従業員の車が、会社の業務に使われることなく、もっぱらその従業員の通勤の便宜のために用いられている場合は使用者責任は生じないでしょう。また、会社が自家用車・バイクでの通勤を禁止している場合も使用者責任は免れます。 他方、会社の業務における利用の形態や程度からみて、従業員の車が会社業務にも使用されているような事実があり、その関連が密接に認められ、その存在が少なくともその通勤時間中は日常的・継続的に会社の営業活動に組みいれていると認められるような場合には会社の使用者責任は認められるといえます。 例えば、会社が従業員個人の自動車手当(マイカー通勤手当)を出しており、自宅から取引先へ従業員個人の車を使って行く指示をしていたような場合がこれにあたります。 もちろん総合的な事実から使用者責任の有無は判断されるものですが、経営者や雇用者の方は従業員の通勤方法についても配慮した方がよいですね。 |
対応可能地域:兵庫県尼崎市、伊丹市、西宮市、川西市、猪名川町、宝塚市、芦屋市、神戸市(全域)大阪府大阪市(全域)、池田市、豊中市、箕面市、吹田市 上記以外の地域でも対応可能な場合がありますのでお問い合わせください。 ※手続きの受任に際しては、事務所または依頼者の方の指定する場所で司法書士との面談が必要となります。司法書士が出張する場合で原則として往復1時間以上要する場合には交通費実費と日当が加算される場合がございます。 |