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過去のブログEx-Blog ※過去の司法書士日記(ブログです)

司法書士事務所尼崎リーガルオフィスの司法書士と事務員の日記です(不定期更新)。
法律ネタや司法書士実務の解説、日常の出来事、好きな音楽・好きな本、その他・・・。

2011年9月

■2011年9月2日 台風

9月になり、インターネットを見ているとおせちの販売予約が案内されていました。なんともせわしいですね。

今日は台風ですが、土地家屋調査士との懇親会があります。

不動産登記は、登記簿上、
表題部権利部に分かれており、表題部は不動産の物理的な状況(土地であれば所在や面積、宅地や畑などの地目など)、権利部は不動産に関する権利関係、つまりは所有権者や抵当権など所有権に関する事項以外の記録が記録されています。

この表題部は、
土地家屋調査士が行います。権利部は司法書士が行います。
そのため、登記申請に際しては土地家屋調査士と司法書士が一緒に業務を行うことが多く、そのため互いに情報交換をすることが定期的にあります。

。。ですが、台風直撃の日に懇親会をしなくても。。、と思ったというのが今日のブログです。


 ■2011年9月5日 研修参加報告 と 裁判員裁判

先週末からの台風は近畿南部に大変な被害をもたらしたようです。なんだか、3月の地震以後、天災に関しての恐怖が大きくなってきました。今回の台風で被害に遭われた地域の方にお見舞いを申し上げるとともに、この国は天災が頻発するという意識を強くもって、国や地域(行政以外の市民も含めて)が防災の意識を強く持つことが必要と思いました。

昨日は京都に「本人訴訟支援」についての研修に参加してきました。講師は、某司法書士試験予備校や大学で講師をされつつ、司法書士として実務もされている東京の小山弘先生です。小山先生の講義は、私も受験生時代に(録音されたCDですが)受講したことがあり、民事訴訟法関係が自分自身「理解」できたのは小山先生のわかりやすく、ピリ辛な講義のおかげです。

6時間かけて行った講義を、昨日の研修では3時間に圧縮したこともあり、用意された資料に沿って説明をするのではなく、小山先生の体験談が主な内容で、むしろとても参考になり、また、業務に関する意欲も湧き直しました。

研修の種類として、
実務知識を得るもの に加えて、司法書士業務を行うモチベーションを上げるもの があると思いますが、昨日の研修はその両者を含んでおり、とても充実したものでした。

さて、話題は変わって裁判員裁判
先日の新聞報道によると、大阪市此花区のパチンコ店で5人が死亡した放火事件で殺人罪などに問われた被告人に対する事件の裁判員選任手続が2日に行われたとのこと。結果、6人の裁判員と3人の補充裁判員が選任されたとのことですが、任期が過去最長の60日間に及ぶこともあり、裁判員候補者のうち、仕事などを理由に辞退した人が目立ったとのこと。その理由は
仕事介護・養育が主たるものでした。

私の周りで裁判員候補者になった方を聞いたことがありません(当然、守秘義務があるでしょうから実はそうでないかもしれません)。
裁判員裁判は一定の量刑以上の刑事事件について行われる制度ですので、司法書士が業務として関わることがありません。過去に経験の意味を含めて、大阪地裁に裁判員裁判の傍聴に行ったことがります。

主観的な感想になりますが、一般市民から選ばれる裁判員が量刑判断するにあたってその思想は裁判官とは異なると思います。それは判例や法律の適用といった裁判所が通常行う判断ではなく、一般市民としての感覚が判断基準となるからですが、裁判員裁判制度はこれこそを欲してできています。

そのためか、裁判員裁判では資料や図がパワーポイントで作成されていたり、説明内容を法律用語ではなく一般の方に分かりやすく説明するなど、検察側のプレゼンテーション方法、同様に弁護側の説明も重要になり、傍聴していて臨場感がありました。

裁判員裁判の時間的な負担については企業に勤めている人や介護・保育を毎日抱えている人にとっては大きいものだと感じます。社会にこれを求めるにしても、それに対する保障・補償を制度として整備しないと、今回のパチンコ店事件のように辞退が相次いでしまうと広く一般から裁判員を募るという趣旨も実現できないかもしれません。

 ■2011年9月14日 訴訟代理人となるときに考えること

最近にご依頼いただく事件として、訴訟代理人になることが多くなっている傾向があります。

貸金返還損害賠償慰謝料請求などと類型は様々ですし、原告(訴える人)被告(訴えられた人)のいずれの立場で代理人になることもあります。

たいてい、訴訟に踏み切る前に当事者間で交渉があるケースがほとんどですが、結果としてその交渉が成立しなかったためにご相談に来られるケースが通常です。

さて、ここで相談を受けた司法書士はどう思うか?

1.請求権は立証できる程度なのか?
を先ず気にします。友人にお金を貸したけど返してくれない、といったご相談の場合。紛争を判断する裁判所は当事者でないので、原告や被告の主張を言葉通りに聞くことはできません。主張に対する立証が必要となります。立証方法として一般的なのは、
書証です。お金を貸したのであれば、借用書等ですね。他に、メール記録や銀行の振込記録、その場に立ち会った人の証言なども証拠になります。

ですが、大金でなく友人であれば、なかなか借用書を書くことはありません。その場合、訴訟をしても、相手方(=お金を借りた友人)が「お金を借りた覚えはない」と否認すれば、原告(=お金を貸して返してもらいたい人)がお金を貸した事実を立証しないといけませんが、訴訟上の立証は困難で、結果として裁判に負けてしまいます。

裁判は真実が勝つのではなく、主張に対する立証ができれば勝つという司法上のルールがあるからです。

・・ご相談いただいた方にとっては大変にもどかしいことだと思うのですが、訴訟の場合に立証ができていない事実を裁判所が認めると、逆に不都合が生じてしまうため、判決を下す立場の裁判所としては仕方がないことです。

2.裁判に勝つための方法はあるのか?
を探ります。上記のように、このまま訴訟をやっても認定がされない可能性があれば、訴訟提起前に証拠をつくりだすことができるかを検討します。<証拠をつくる>というのは、借用書を偽造するといった事ではなく、訴訟提起前の相手方が警戒しない段階で、事実関係を認定させる機会をつくることです。例えば、「借用書は作ってなかったけど、借りたことだけメモに書いてもらっていい?税務署で必要だって言われたから」等。あるいは、立証できなければ負けてしまう訴訟ではなく、調停や任意交渉で問題解決を図ることもあります。

3.相手の立場で事件を考える
ご相談される方は、その内容や性格にもよりますが、ある程度感情的かつ興奮しています。
法律を使って問題を解決していく場合、上記1・2のような立証を尽くすことが必要ですが、「人として許せない」、「モラルに反している」といった理屈では法律の土俵での問題解決につながりません。

そのために、客観的に判断する専門家が存在するのですが、相談者に同調して有利な点のみを考えてしまうと、訴訟等を進めていく上で思わぬ落とし穴にはまってしまいます。そのため、自分が相手方の代理人になった場合にどのような抗弁(=相手の言うことに対する言い返し)ができるか、その抗弁に対して再抗弁ができるか?を検討していきます。

少なくとも、私はご相談を受けた場合にこのようなことを検討して、どのように進めていくのがよいかを検討しています。さらに、高校の同級生である弁護士Yくん、先輩・同期の司法書士に相談して、さらに客観的な判断を求めてます。

そのため、相談に対する私の回答は、基本的に<悪い方>を強調しているように思われるんだと思います。それは、<悪い方>に進んでしまった場合の対処方法を重点に思うからです。結果として、<悪い方>にならなければそれでよいのです。

当然、手続を進めていく上で上手くいく可能性が高い場合にはその旨をお伝えしますが、どの事件でも楽観的に「私に任せておけば万事上手く行きます!」と断言はしません。訴訟に勝訴としたとしても、相手が判決にしたがわず任意に支払いをしなければ強制執行をしなければなりませんが、相手に資力がなければ執行のしようもありません。

そもそも、相手が約束を守る人であれば紛争は存在してなかったのであり、紛争が起こっていること自体が既に問題です。問題を解決する方法とそれを進めていくことが代理人の職務であり、問題解決を100%請負うことはむしろあり得ないことと思っています。

当事務所の方針として、紛争解決に向けていろいろ角度からベストな問題解決方法を考えますが、代理人であっても書類作成であっても、相談に来られる方と一緒に問題解決を進めていくのが大切と考えます。そのため、方針の押しつけはしませんし、譲歩も検討することもあります。

当事務所では初回の法律相談は無料としています。それは、初回の相談では何が問題であるのかも相談者自身が整理できていないでしょうし、それに対してどのような方法があるのか、それぞれの方法のメリット・デメリット、発生する報酬や費用、等の概要の説明に留まると考えており、さらには上記のような方針を理解いただき、その上で相談者の方と信頼関係をもって業務に当たりたいからです。

司法書士の代理権を超える相談は司法書士法上受任することはできませんし、事情を聞くと、法律上ではなく別の方法で解決した方がよい場合、税理士や土地家屋調査士など他の専門家に相談すべき事案などありますが、取りあえず当事務所にご相談にお越しいただければ何かしらのナビゲートもできますので、先ずはお気軽にご相談いただくことをお勧めいたします。


 ■2011年9月16日 連休前のひととき

昨日、今日と裁判が続きました。それぞれ全く別の事件で、昨日は被告代理人、今日は原告代理人の立場で損害賠償金銭請求の事件でした。

支払う立場と請求する立場が連続していますが、当方は依頼者の代理人ですから、
依頼者の方の利益になることを大前提に事件を受任してますので、立場がころころと変わることはあるのです。

詳細は守秘義務がありこのブログで紹介できないのですが、いずれも結果として希望する方向に進んで良かったです。連休(といっても、研修や出社して1日しか休みがありませんが)も気持ち良く迎えられそうです。

裁判続きの中ですが、昨日は成年後見実務研究会の会議が大阪司法書士会でありました。この研修会の特徴は、大阪大学と提携して、教授の指導のもと、実務家である司法書士が成年後見実務に取り組んでいくというもので、昨年度は
「成年後見と死後事務」という書籍も出版するに至りました。

・・参加してみての感想ですが、私はついていけるのだろうか?という大きな不安を持ちました。成年後見実務をバリバリされている先生方ばかりで、私のような<初心者レベル>の方がおらず、発言も情けないことを言うことしかできず。。 そもそも参加申し込みをしたのも、大阪大学で研究会を行うということで、自宅が大阪大学から10分程度なので便利かも、というものでしたので。とりあえず、自分なりにがんばって勉強していこうと思います。

話題が変わりますが、昨日・今日の裁判所移動のため、バイク(125CCのスクーター)を使っており、事務所から大阪司法書士会(谷町4丁目)までバイクで行ってみました。電車でいくと、事務所⇒タクシーでJR尼崎⇒東西線で大阪天満宮⇒地下鉄谷町線 と乗換や移動が大変なのですが、バイクでも電車と変わらない時間で40分程度で行くことができました。

大阪市内をバイク移動するのは、道路が混んでおり、マナーも悪いので嫌で、今まで大阪司法書士会にいくには電車移動してましたが、バイクも便利ですね。そういえば、ご近所の司法書士は大阪裁判所まで尼崎から自転車で行っているようです。尼崎と大阪市内の近さを再認識しました。

ただ、道路で<天6>とか<谷4>とか方向を表示してますが、大阪の地名に詳しくない人があの表示を見て理解できるのか?と疑問に思った次第です。

では、皆さまもよい連休をお過ごしください。

 ■2011年9月24日 預金差押えに関する最高裁判決

すっかり秋の気候になりました。今年の夏は、<節電>が日本全体のテーマでしたが、早くも冬の<節電>をどうするかのニュースもあり、秋に入ったこの時期だけがホッとするように思います。

さて、昨日の日経新聞報道に最高裁判所の裁判事例が掲載されていました。裁判実務を行っている者にとっては、とても興味深いものでしたので、この日記で紹介しようと思います。

債権者が債務者の預金を差し押さえる場合に、預金のある銀行支店名を特定しないまま差押えを求めることが認められるかどうかが最高裁で争われ、原則として認められないとの初判断を最高裁が示しました。

これまでも実務上は支店の特定が必要とされてきたが、支店が分からない場合に債権者が全支店を対象に請求するケースがあり、これに対して一部の地裁や高裁で「特定は不要」とする判決が出され、司法判断が割れていました。

最高裁は、差押えを求める場合は「ある程度速やかに債権を識別できる必要がある」と指摘。今回のケースでは、債権者側が三菱東京UFJ銀行などメガバンク3行とゆうちょ銀行の全支店を対象にしていることから「預金の有無などの調査に時間がかかり、その間に利害関係者の地位が不安定になりかねない」として請求は認められないと判断しました。


(解説)
裁判で勝訴した場合、判決文には<被告は原告に対して金**円を支払え>と書かれています。被告が任意に支払いをすればよいのですが、そうでない場合も結構あります。その場合、原告は判決文に基づいて被告の財産を差し押さえることができるのです。その際、原告は被告の財産を特定しなければなりません。差押えの対象が銀行預金口座であった場合、
どこまで特定をしないといけないか、が問題となっていたんですね。

実務上、被告(=債務者)の財産を調査することはけっこう大変です。通常差し押さえる対象となるのは、銀行預金・給料・不動産・動産というたぐいでしょうが、そもそも支払い能力がないケースもあります。給料であればどこに勤務しているかが分かれば差押えもできますが、どの銀行に預金があるか、その支店名まで特定することは当てずっぽうで行うこともあります。例えば、自宅の近所の銀行支店を差押え対象として、結果<預金口座はありません>という回答になることもあります。

差押えは、民事執行法上は強制執行と言いますが、その効力は強大ですが、そもそも行うことに困難があるんです。だからこそ、私も強制執行をしなくても回収が図れる方法を優先して考えて業務を行っています。

・・今回の最高裁で、<支店の特定は不要>と示されたらどれだけ差押えが楽になったことか。と実務家としてはちょっと残念。

 ■2011年9月27日 民法改正~約款の明文化

もう9月も終わりそうです。なんだか、この日記を書くときは常に時間が過ぎるのを焦ってしまいます・・。

本日の日経新聞に、
民法改正に関する法制審議会の議論経過が紹介されていました。興味深いので、この日記にUPしました。

現行の民法は基本的に明治29年に制定された後、親族編(特に相続に関して)などは大改正がされましたが、<契約>については抜本的な改正がされないまま現在に至っています。よって、民法が規定していない問題は、裁判所が個別に司法判断をしてきて、それが判例という形で実質的な法律になっている部分もあります。

今回の法制審議会で、論点として項目に挙げられているのは約750。これをさらに議論を重ねて、現代社会の実情にあった民法改正試案を作成していくのですが、『約款』が焦点の一つとなっています。

約款とは、取引条件についてあらかじめ定型的な内容を定めたものです。鉄道やバスなどのように不特定多数の利用者と取引をするビジネスの場合、定型的な取引条件を約款で定めておけば、大量の契約を効率的に成立させられるメリットがあります。

契約とは申込承諾という双方の意思が合致して成り立つものですが、上記の鉄道やバスもそうであるように、現代社会ではインターネットを通じた契約が日常となっています。そういった場合、逐一、契約書を作成するのではなく、約款を使って大量の契約を効率よく成立させたいという事業スタイルが増えているのです。

インターネット事業に関して事例を紹介すると、ネットオークションで商品を落札し、代金を指定口座に払い込んだにもかかわらず、出品者から商品が送られてこなかったという詐欺被害に遭った人たちが、集団で運営会社のヤフーに対して損害賠償請求を求めた裁判がありました。

ヤフー側は、自社は商品売買のための『場の提供者』にすぎないと指摘し、その理由を
① 商品売買の解除・解約や返品・返金に一切関与しない 
② 利用者間でトラブルが起きても解決にあたることはない
という契約ルールを約款として定めている、と主張しました。

一方、利用者側は『約款の内容を読まなくてもオークションを利用し、始めることができる』と指摘。
約款はヤフーと利用者の間の契約内容とならないため、約款に法的拘束力はないと主張しました。

裁判の結果は、ヤフー側の勝訴でした。理由は、『利用者はサイト上のボタンをクリックすることで約款の適用に同意していた』というものです。

法制審議会では、約款について、『約款が当事者の合意した契約内容になる要件を明確にしてはどうか』という論議を行い、賛成理由としては<約款を巡る紛争が予防できる>とし、反対理由としては<(約款の)開示が必要になれば迅速な取引の妨げになる>と、それぞれの意見が出されており、今後どういう結果になるか注目です。

個人的に、約款の民法への明文化は『賛成』です。ただ、その確認方法についての要件の定め方が必要ですし、消費者を保護する趣旨で立法された消費者契約法と相反する部分の調整も必要かと思います。


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