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過去のブログEx-Blog ※過去の司法書士日記(ブログです)

司法書士事務所尼崎リーガルオフィスの司法書士と事務員の日記です(不定期更新)。
法律ネタや司法書士実務の解説、日常の出来事、好きな音楽・好きな本、その他・・・。

2009年12月

■2009年12月3日 悪質商法110番の結果 他 / 司法書士 山際 勉

12月になりました。諸事情で進められない事件についても、今年中にそれぞれ形をつけるようがんばらないといけない気持ちになりますが、風邪を引いたようで体調悪いです。。

さて、12月1日に全国青年司法書士協議会主催の全国一斉悪質商法110番の相談当番をしてきました。
当日は、10時~16時、全国各地の司法書士会で電話相談を受けつけておりましたが、兵庫県司法書士会&青年司法書士会では合計21件の相談電話を受けつけました(全国では合計160件程度の相談があったと聞いております)。

私も10時から15時くらいまで、交代で電話に出ていたのですが、パチンコ攻略詐欺 や 商品先物被害携帯サイトの代金請求などの事案を受けました。

まだ、すべての相談の分類報告がないのですが、パチンコ攻略詐欺の相談事例は多かったように思います。

私が電話で受けた宮城県の男性の方は、インターネットで<必ず勝てるパチンコ攻略法>なるサイトを見て、申込をしてお金を支払い、<マニュアル>を受け取りましたが、まったく勝てず、連絡をすると『店や機種によって攻略法は異なる。さらによい情報がある』と言われ、追加代金を支払う。 その繰り返しで、支払った合計が1200万円です。

私はパチンコをしないのですが、パチンコで勝つ以上に、1200万円あれば貯金していた方が良かったのでは・・・、と思う気持ちもありましたが、その男性が100%悪かった。ということではありません。投資した金額を、さらに投資することで回収したいという気持ちはあって当然ですし、業者の勧誘方法に問題があるのは明らかです。

パチンコ攻略詐欺の場合、法律的には消費者契約法や民法を根拠に返還請求権利はあるのですが(もちろんすべての事例において返還請求権利がありますとは言えません、やはり個別具体的な事例によります)、返還交渉や訴訟をしようにも、相手の所在がわからないことが多いのが一番やっかいです。

登記をしている<会社>であれば、法務局で登記簿や登記申請の際に提出した書類を閲覧することができ、そこから手がかりをつかめますが、登記をしていない個人や会社であっても実態のないものの場合、把握している住所に行っても<私書箱センター>であったり、もぬけの殻ということもあります。

今回の相談で、「携帯サイトの未払い代金の請求をされているが、支払うべきなのでしょうか?」という相談もありました。これも内容を聞いていると、支払う必要がないものと思います。ですが、<訴訟通知>などと書かれたら、一般の方は不安に思い連絡をする方も多いでしょう。

これはいわゆる架空請求の類ですが、架空請求業者の狙いは、不安にさせて連絡をさせ個人情報を聞きだすことです。個人情報を得れば、次回からは<会社にかけます>、<家族にいいます>と脅すことができますから。

今回は、連絡を決してしないように、着信拒否設定をしておくようにとアドバイスができ、1件でもトラブルを未然に防げたことをよかったと思います(お金を支払った後に取り返すのはやはり困難ではありますから)。

最近、一般訴訟事件を受ける割合が多くなったように思います。なぜ訴訟になるのか!?というと、当事者間で話しがまとまらないからですが、世の中のモラルが低下していってるんでしょうか。

借りたもんは返す、渡すものは渡す、約束は守る ということが当たり前でないのも、どうしたものか。。と私も精神的に参ってしまうこともあり、さらに今日は風邪のため余計につらくなりました。。

宮沢賢治の<雨ニモ負ケズ・・・>の一節で、<訴訟や争いごとがあれば、行ってそんなことつまらないことは止めろという>という言葉があったように思いますが、皆がそう思えば訴訟もなくなるんでしょうか。。

 ■2009年12月8日 相続の手続き / 司法書士 山際 勉

12月も8日となり、今年も残すところ・・・という表現を使う季節になりました。
年末年始は、29日(火)~3日(日)までお休みとさせていただきますが、多分それなりの割合で事務所に来ることになるように思います。

年末年始を挟むので、実際に対外的(法務局や裁判所、役所など)に仕事ができるのは25日まで。となると、なんとか今年中に形を整えたい依頼がけっこうあり大変です。。しかも、相手方のいる依頼の場合には依頼者の方と私の都合では進めようもない事案もあったりでどうしたものか。

さて、最近相続登記に関するご依頼が相次ぎました。登記という手続きは、必要な書類さえ揃えば申請できます。
一般的には、被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍関係書類相続人の戸籍抄本、不動産を取得する方の住民票、法定相続以外の持ち分(または遺言で相続の指定がない場合)以外で登記をする場合には遺産分割協議書、さらに遺産分割協議書に押印する実印の印鑑証明書

これらの書類を揃え、登記申請書に添付することで登記は完了です。もちろん、事案によって名義を変更したり、住所を変更したりする場合にはそれを証する書類や未成年の子が相続人にいる場合に遺産分割協議をする場合には特別代理人を家庭裁判所に選任したり、と実際にケースによってプラスで必要な書類もあるのですが、それは書ききれないので省略。

相続登記のお問い合わせをいただく際「総額で費用はいくらかかるのか?」と聞かれます。

当然、依頼をされて、登記が終わるまでいくらかかるのかわからない。そんな状態で依頼をされる方はまずいないでしょう。そのため、私も正確に費用を計算したいのですが、お電話だけでは何ともお答えのしようがないのも現実なのです。

相続登記にかかる一般的な費用として、
*司法書士に対する報酬
・・・これは事務所によって異なります。司法書士事務所尼崎リーガルオフィスの基準は、費用・報酬のページを参照ください。 ただ、上記で記載したように、事案によってプラスで手続きをせざるを得ない場合もありますので、事案を見ないことにはわからない事情があります。
*登録免許税

・・・登記をする際にかかる税金です。不動産の価格(固定資産評価証明書)の4/1000がその額となります。
たとえば、1000万円の評価額の土地を相続する場合は4万円の税金です。これは、毎年市役所から届く固定資産税・都市計画税の納付通知の1枚目に<評価額>という記載で載っています。お手元にこの用紙があれば、税金額をお答えすることはできます。
*実費
・・・戸籍謄本やその他書類の実費です。司法書士事務所尼崎リーガルオフィスでは、実際の書類の費用と郵送で取得する際の郵便代のみを頂戴しており、取得手続きの手数料はいただいておりません。他に、登記をする前及び登記終了後に取得する登記簿謄本が1通700円または1000円です。さらに、事案によって遠方の相続人のご自宅などに司法書士が出張する場合には日当と交通費をいただきます。

といった具合で、お電話で伺った際には正確な見積もりが出せないのです。実費に関しても、亡くなられた方の戸籍がどの程度必要なのかは取ってみないことにはわからないです(ただ、徐籍謄本であっても1通750円ですので、複数の戸籍を取得しても何十万円になることはあり得ませんが)。

こういった事情で、最初にお電話をいただいた際には正確な見積もり額が出せないのですが、それは<見積もりを提示しないで高い額で請求をしてやろう>という気持ちがあるわけでは全くないです!(むしろ、ウチの報酬基準は一般的に安いはず、だと思ってます)。

ただ、いざ相続登記を依頼していくらかわからないままでは依頼される方も不安です。ですので、まずは相続人の関係や物件の数、現在の登記簿がどうなっているかなどを伺い、調査をした段階で見積もりを提示してから依頼されても結構です(調査の際に要した実費は後に請求させていただきますがご了承ください)。

また、司法書士は登記の依頼を受けた代理人です。もし相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合、司法書士が代理人となって交渉をすることはできません(資格をもって遺産分割協議の交渉をできるのは弁護士のみです)。その場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てますが、この申立書類は司法書士が作成できます。

遺産分割協議がまとまらない、といったケースではなく、協議はできるが、相続の手続きの説明を受けてから協議をしたい。というような場合には司法書士が説明することは可能です。

相続登記の手続きは、1件ごとに事情が異なります。逆に、どんな相続登記も**円で行います!とは言えませんし、言うとすれば高い金額での報酬設定をしてしまうことになります。

司法書士事務所尼崎リーガルオフィスでは、相続手続きをされる依頼者の方にご負担がないよう、十分に打ち合わせをしながら手続きを進めていきますので、まずはお気軽にお電話やメールで問い合わせいただければと思います。

 ■2009年12月10日 <弁護士バー> / 司法書士 山際 勉

先日、インターネットで面白い記事を見つけました。

<弁護士バー>客の要望で法律相談も 弁護士会は「待った」(毎日JP ニュース)
弁護士がバーテンダーとして酒類を提供しながら、法律相談にも応じる<弁護士バー>を、第二東京弁護士会所属の弁護士(29)が計画している。この弁護士によると、「何か起きてから弁護士を探しても遅い。相性のいい人を見つけておけば安心で、お客と弁護士の双方にメリットがある出会いの場」と話すが、弁護士会は、このバーが一般社団法人として設立されており、弁護士と顧客の法律事務を仲介することになるので、弁護士法で禁じる「報酬目的の周旋」に当たるとして待ったをかけた。
また、弁護士会副会長は、「客が酔った状態で相談を受けるのはトラブルのもの。品位も損なう」とコメント。
*毎日JP の本文を要約しました

個人的には賛成です。というか、これと同じことを私も考えており、同期の司法書士に話していたことがあります。が、まだまだ勉強中のため、実現への準備はしてませんが、将来的に私自身もやってみたいことです。

弁護士会のコメントからみると、問題点は
1.報酬目的の周旋にあたること
2.バーという場所でお酒も提供することからトラブルが起こりやすく、品位も害すること

だと思います。だとすれば、これらに該当しなければ問題はないはずです。

弁護士さんも私たち司法書士も、いろいろなルートで仕事の依頼を受けます。

ホームページや市・行政・司法書士会の相談会といった窓口だけでなく、過去の依頼者の方の紹介、知り合いの紹介も多いですし、所属している団体(商工会議所や地元の町民会)の紹介、あるいはたまたま飲み屋で出会った人の依頼を受けることもあります。

そういった意味で、とある場所が依頼を受ける場所 になることは否定できるわけがありません。

<弁護士バー>の弁護士さんいわくは、相談自体で報酬はもらわないそうですので、お酒を飲んで、気軽に相談できる場を作るという気持ちからこの企画をしたんだと思います。確かに、<周旋>と言われれば結果としてそうなると解釈できますが、他にも依頼を受ける場もあるんだし、モラルに反した依頼募集方法(ビラを配る、誰かと提携して周旋する)という趣旨とは異なるので弁護士会もどう線引きするか、興味があります。

また、お酒を飲んで酔ったお客に対して、相談をすることは確かにトラブルになるかもしれません。でも、日常で友人の悩みを聞く場合にはお酒を飲みながらということはよくあることですし、記憶がわからないくらいにやけ酒を飲めば、そりゃ相談は無理です。逆に、お酒がダメなら、<弁護士カフェ>なら大丈夫になるのでしょうか。

弁護士や司法書士が一般市民から遠いのは、法律という一見固いイメージの仕事だからでしょう。

そういったイメージを覆してきたのは、テレビ番組に多く出演する弁護士さん達だと思います。個人的に、何でもかんでも訴訟をするというのは考え直す必要はあると思いますが、法律問題を一般市民に解説するという点では大きな意義があったのは事実です。

そもそも、弁護士や司法書士が関与しなくても、共通の知人や町の世話役のような方がトラブルを解決してきたのが日本の歴史でもあります。私も飲みに行ったら、そこのマスターとお話をするのは好きですし、時には悩み相談にも乗ってもらいます。

<弁護士バー>を計画している弁護士さんは、「法の規定は悪質なブローカーを想定しており、今回の計画には抵触しない。認められなければ実際に開店し世間に是非を問う」とコメントされています。

私としては、ぜひ開店してほしいですし、これからの計画も注目していきたいと思います!

 ■2009年12月11日 自己破産の申し立てとは!? / 司法書士 山際 勉

私ごとながら、先週からずっと風邪っぽくすっきりしない状態が続いておりました。とにかく目がしんどくて、朝起きても目を開けることがつらく、事務所で仕事をしていると、目疲れから肩もコリ、頭も痛い・・。

が、今日はかなりすっきりとした感じで、風邪治りました。楽ですね~。仕事もやる気モードになるというもんです。

今日は神戸地方裁判所自己破産申立をしてきました。自己破産は、裁判所に支払不能であることを認定してもらい、さらに自己破産をするに至る事情が免責不許可事由に該当しないかを審査し、免責(養育費、罰金など一部の債務を除いて支払義務を免除してもらうこと)決定を出してもらうという手続きです。

自己破産手続きは、司法書士だけでは完結できません。任意整理や過払請求であれば、手続きの依頼さえ受ければ、司法書士が代理人となって手続きを完結することは可能ですが、自己破産手続きの場合にはご本人でないとわからないこと、ご本人でないと用意できない書類がたくさんあるからです。

自己破産手続きも手続きの入口は他の手続きと一緒で債務調査をすることから始まります。利息制限法を超過した支払をしている業者がある場合、債務がなく払いすぎ(=過払い)になっていることもあるためです(余談ですが、自己破産の相談を受けて、債務調査をしてみると、自己破産する必要がなく過払い金返還請求をしてすべて債務を返済した事例もよくあります)。

債務調査をして、支払不能により自己破産を選択することになり、収入や支出を証する書面、その他提出書面を準備して、裁判所に自己破産申立書を提出します。

さて、ここからが実務のお話です。

自己破産申立は午前中に行うことがルールです。法律で定められていることではないのですが、午前中に提出して、書記官の方が内容をチェックするためでしょうか?(仕事の段取り?)このルールを知らずに過去に午後に出したときには、受付をしてもらいましたが、「これからは午前中に出して下さいね」と言われました。

自己破産申立をすると、提出書類に不備がないかのチェックがあります。チェックの時間は裁判所によって異なりますが、神戸地裁本庁では、(混雑状況や事案内容によって異なりますが)30分くらい待つことになります。神戸地裁尼崎支部では、比較的早く10分程度待ちます。

この待っている間、神戸地裁では債権者の数の封筒を渡され、用意してきた宛名ラベルを貼っておきます(待合室がありますので、そこで作業することになります。ちなみに、神戸地裁尼崎支部では書記官の方にラベルを渡すだけで、裁判所がラベル貼りをしてくださいます)。

この受付チェックが終わると、<事件受理票>をもらいます(この事件受理票には裁判所の受付印と事件番号が書かれています)。また、官報公告費用(1万290円)を支払うための用紙も渡されますので、出納課に行って支払います。このとき、裁判所出納課ではお釣りがないこともありますので、お釣りのないように準備していきましょう(私も持ち合わせがなく、裁判所の自動販売機でジュースを買い込み、1万290円をつくったことがあります)。

これで受付は終わりです。

・・自己破産の書類作成をした司法書士としてはここからが正念場となります。裁判所も受付時には、提出すべき書類が揃っているかどうか、をチェックしているので、その中身まで詳しくは見ていません。そのため、受付した書類をこまか~く審査していきます。そして、不備がある点、審査にあたり補足して欲しい点を電話やFAXで連絡をしてくるのです(追完指示といいます)。

この追完指示が来るのは数日~1週間。正直、ビクビクして待ってます。追完指示がまったくなく、破産手続開始決定がなされることもありますが、追完指示がある場合には、その指示された事項を補足して再提出して改めて審査をしてもらうことになります。

追完指示があったとしても、裁判所は<この破産は認めない>という意味で指示を出しているのではありません。
むしろ、支払不能になった以上、破産を認めるのがその方針であり、破産法1条にも『・・・債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする』と定められているのです。ですので、指示された事項をきちんと回答すればよいだけです。今の状態では破産手続き開始決定は出せませんが、補足説明してくれれば破産手続き開始決定を出しますよ、というスタンスです(と私は解釈しています)。

自己破産申立書ももちろん、訴状や登記申請書などの書類はプレゼンテーション書類です。
相手に分かりやすく、きれいに作成することも心がけるとよい印象を与える、と私は思っていますので、きれいに丁寧に書類をつくることも大切です。

自己破産手続きは準備も大変ですが、受付を終えれば審査のレールに乗ったことになり、この後の手続きはどんどんと進んでいくので、申立を速やかにすることを司法書士も依頼者の方も協力をしあっていくことが必要ですね。

 ■2009年12月16日 カナダから帰国した人の住所変更登記 / 司法書士 山際 勉

私が司法書士になる前の仕事は旅行会社です。大学卒業後は東京で勤務していましたが、退職して関連会社であるカナダ・バンクーバーにある現地法人に入社して3年ほどを過ごしました。

そのときの上司(日本人ですが、在カナダ25年)が日本に本帰国することになり、9月に埼玉県にマンションを購入しました。購入した際は、カナダに住んでいたので、登記簿にはカナダの住所が載っています。10月に日本に帰国して埼玉県のある市に住民登録をしたため、住所の変更登記をすることになったのですが、私も初めての登記パターンでしたので参考までに日記に書いてみます。

まず、登記簿ですが、

カナダ国ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市**通*番*号室 山田 太郎

と記載がされています。この際、日本国内に住所があれば買主は住所を証する書類(住民票など)を添付しなければならないのですが、カナダに住んでいるため、カナダの領事館に『在留証明書』を発行してもらいます。

ここまでが、マンションを購入して買主が登記をした、という状態です。

マンションを買ったときから住所を変更する、といったことはよくあることです。また、行政の都合で住居表示が実施されたり、市町村合併で市町村名が変わることもあります。そういった場合には、登記簿上の住所も変更しなければなりません(法務局が勝手に変更をしてくれるものではありません)。

住所を変更する場合、どう変更したのか?を証する書類を法務局に提出するのですが、ふつうは住民票(前の住所地が載っています)、住民票の除票(過去の住民登録をしていた市町村役場で発行される、過去の住民票です)や戸籍の附票(住所変更の経緯が載っています)、住居表示の場合には住居表示した旨の役所が発行する証明書を提出することになります。
※他にもケースによって別途の書類を提出することもありますが、一般的な例です。

ただ、住所変更をしたのが5年以上前の場合や登記簿上の住所から現在の住所に至るまで転々と住民登録を変更していた場合などは、役所の書類保存期間が経過してしまったためにこれらの書類では足らないこともあります(特に相続登記をする場合、亡くなられた方の住所変更の変遷をたどることは難しいこともあります)。

そういった場合には、<登記簿と現在の住所は違うけど、登記簿上の名義人は私であり、住所の変更があったことは間違いないです>という内容の書類(上申書)を出して登記をします。

さて、今回のカナダから埼玉県に住所変更をしたケースで、住民票と戸籍の附票を取得してみました。

すると、埼玉県の住民票の前住所欄には、『カナダ国』としか書いていませんでした。カナダは日本の26倍の面積がある広大な国ですが、一言『カナダ国』が前の住所の記載でした。戸籍の附票も同様でした。なんとおおざっぱな・・・。

外国に3ヶ月以上在留する日本人は、在日本領事館に在留届を出すことになります。これは、在留している外国で何かあった場合に、日本人の安否確認の意味が大きいのですが、その場合には在留外国での住所地や職場、電話番号など詳細に書いて提出するのに、いざ日本に帰国して住民登録をしても細かいことは何も書かれないんですね。

ということで、管轄のさいたま地方法務局志木出張所と相談の上、上記で書いたような上申書にカナダの運転免許証、パスポートのコピーをつけて住所変更登記をすることになりました。

登記手続きは地味ですが、今回のようにイレギュラーなケースだと思わぬ発見があり楽しいですね。
他にも、イレギュラーな登記について日記に書いていこうと思います。

 ■2009年12月21日 地縁団体の不動産登記 / 司法書士 山際勉

さて、今回も前回の日記に引き続き、ちょっと変わった登記の事例についてです。

地縁団体という言葉を聞かれたことはあるでしょうか? 言葉とおり、土地を縁にしてつながり合いを持つ団体のことです。たとえば、町内会や自治会などが一般的な例です。

さて、ここでとある<○○町町内会>があったとします。この町内会では、町内会として不動産をAさんから買い受けることになりました(今回、私が行った事例では○○町にある道路をAさんから買い受けるというものです)。

登記をする場合、登記簿に記載されるのは自然人(個人としての人間)または法人(法に基づいて設立された団体)しかできません。○○町内会は、法人ではないので、道路を買い受けたとしても登記簿には、○○町内会ではなく、便宜上、代表者個人の方、あるいは町内会に入っている全員を登記名義人とするしかありませんでした。

この場合、何が問題かといいますと、

*○○町内会の代表者個人で登記をした場合、登記簿上の所有者はあくまで代表者個人のため、税金の課税や○○町町内会の所有であることがわからない。登記をした代表者が交替した場合、登記と実体が異なってしまう

*○○町内会に所属する全員の名義で登記をした場合、登記名義人が増え過ぎてまとまりがつかない。。。
 <町内会の全員の共有不動産だ>という状態にはできるが、登記上は自然人(個人)が複数集まっているだけなので、 登記をしている誰かが亡くなれば毎回相続登記をする必要があるし、この場合も町内会の所有であるということは登記簿上わからない


といったことが問題となります。

そこで、1991年4月に地方自治法が改正され、町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(=認可地縁団体)は、地域的な共同活動のための不動産または不動産に関する権利等を保有するため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利義務の帰属主体となることができることになりました。

登記上、これは便利です。

登記名義人を<○○町町内会>とすることができますので、町内会の代表者が交替しようと、町内会のメンバーが変わろうと、登記はあくまでも<○○町町内会>ですので、町内会のある限り、登記を変更する必要はありません。

登記手続き上、法人の場合には、法務局で法人であることの証明書(登記簿謄本や代表者事項証明書)を添付するのですが、地縁団体の場合は法務局で登記をしないため、市区町村長で<地縁団体台帳>を発行してもらい、添付書類とします。

私も地縁団体が当事者となる登記手続きは初めて行ったのですが、地縁団体についての特徴は他にこんなことがあります。

*認可地縁団体の要件は、
 地域的な共同活動のための不動産または不動産に関する権利等を保有するために市町村長の認可を受けることができ、
 1.その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理など良好な地域社会の維持及び形成に資する
   地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていること
 2.その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること
 3.その区域に住所を有するすべての個人は、構成員になることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となっていること
 4.規約を定めていること
 (地方自治法260条の2)
⇒よって、特定の目的だけを行う団体(○○町サッカー同好会など)や、構成員に住所以外の条件を要する団体(○○町子供会、○○会婦人会など)は認可地縁団体となりえません。

*認可地縁団体は、正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒んではならない
 (地方自治法260条の2第7項)

*認可地縁団体は、特定の政党のために利用してはならない
 (地方自治法260の2第9項)

また、認可地縁団体となる一番大きな条件としては認可申請の時点ですでに不動産を取得しているか、取得する予定があり、団体の総会を開催して、認可申請をするという議決を行う必要がありますので、現実として地縁団体の認可手続きをするきっかけは、不動産の登記をする場合なんでしょうね(ただし、認可地縁団体となることで、訴訟の当事者にもなることはできまし、税法上も地縁団体に対して課税されますので実体上は株式会社のような法人と同じく大きな意義はあります)。

地縁団体の認可手続きは、行政庁(市区町村)に対して行うため、司法書士が代理人として行うことはできませんが、地縁団体に関する不動産登記手続きは司法書士が代理して行いますので、地縁団体についても司法書士事務所尼崎リーガルオフィスまでお問い合わせください。

 ■2009年12月24日 アイフルの事業再生ADRが成立 / 司法書士 山際 勉

今日はクリスマスイブです。といっても、30半ばを超えた私には何の関係もありません。そもそもサンタクロースがいると信じた記憶がなく、私の誕生日が12月でしたのでクリスマスプレゼントは誕生日プレゼントと併合されておりましたし。ですが、小さな頃はクリスマスツリーを飾るのは楽しかったです(クリスマスツリーは実家の仏間に飾ってました。。。)

さて、本日午後の話となりますが、経営再建を目指して裁判外で債権者と返済猶予等についての話し合いをしておりました消費者金融大手のアイフル事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)計画を全債権者に同意をされ、ADRが成立しました。

ADR手続きというのは、以前にこのブログでも書いたのですが、裁判所での手続き(債務に関する特定調停や会社更生法に基づく会社更生手続き、破産法に基づく破産手続など)を選択せず、当事者間で話し合いをして紛争の解決をするというものです。

裁判所で行う手続きと異なり、あくまで当事者が同意をすればどんな内容でも構いませんが、全員が同意することが必要なためADRが成立するかどうか!?が注目されていました。もし成立しなければ、経営状態が良くないアイフルは裁判所での手続きを選択する決断を余儀なくされ、その結果として一般消費者の過払い請求債権が大幅にカットされることもありましたが、とりあえずはそのような方向にはならないようでホっとしています。

ですが、アイフルの経営状態が悪いのは引き続きのこと。今回のADRでアイフルは、来年9月まで約2800億円の債務の返済を猶予してもらい代わりに、社員数を約半分に減らし、店舗も270店を閉鎖するリストラ計画を立てております

消費者金融に対して交渉をしている立場の私の経験上、社員のリストラをした場合、まずもろもろの事務手続きの対応が遅くなることが予想できます。取引履歴の開示、交渉の対応、和解書の送付、訴訟での対応とすべてが遅くなり、債務整理手続きが進みません。

そして、過払い金返還についての金額面での対応もこれからどうなるか不明です。現在、訴訟外でアイフルと過払い金返還交渉をした場合、元金の5割の提示がされますが、経営再建を目指し、社員のリストラ・店舗の閉鎖というコスト削減を進めていく会社であれば、会社から出ていく過払い金返還の額を少なくしたいというのは本音でしょうので、今の5割よりもさらに低い額で交渉しかできないことも予想されます。

ADRが成立したことで、とりあえずは裁判所での手続きをすることは(しばらくは)ない、という点は安心できたのですが、これからのアイフルの対応がどうなるのか?は注意していかなければなりません。

債務整理について、既にアイフルに完済をされた方でも完済後10年内であれば過払い金返還請求は可能です(逆に、完済後10年を経過している場合は、原則として過払い金返還請求権について時効が成立しているとの主張がされますので過払い金返還請求は難しいです。不法行為を根拠に10年を経過しても過払い金返還請求は法律上できますが、なかなか裁判所では認定されていない現状です)。

また、現在アイフルに借入金がある方も、利息制限法で定める利率(借入金額により15~20%)を超えた利率で借入をしていた場合には、利息制限法を超える部分を引き直して計算することで債務額は圧縮されます。そして、圧縮された債務額について返済可能な金額で返済をしていく和解ができます。

アイフルに対しての過払い金返還請求は、アイフルがこういった台所事情ですので、すんなりといくことはありませんが、まずは手続き進めることがスタートです。

アイフルに限らず、消費者金融大手会社は軒並み経営が悪化していますので、過払い金返還請求を検討されている方はぜひ早めに司法書士事務所尼崎リーガルオフィスにお問い合わせください。

※債務整理に特化した司法書士事務所尼崎リーガルオフィスのサイトもありますので併せてご参照ください
債務整理サポート BY 司法書士事務所尼崎リーガルオフィス


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Amagasaki Legal Office
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       上記以外の地域でも対応可能な場合がありますのでお問い合わせください。
※手続きの受任に際しては、事務所または依頼者の方の指定する場所で司法書士との面談が必要となります。司法書士が出張する場合で原則として往復1時間以上要する場合には交通費実費と日当が加算される場合がございます。