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裁判を行う際、重要な書類の交付は普通の郵便ではされません。ここではそういう場合に用いられる送達という交付方法について説明します。
送達とは
送達(そうたつ)とは当事者、その他の訴訟関係人に訴訟上の書類の内容を、法定の方式に従って送付することをいいます。送達事務は、原則として裁判所書記官の職権により行われます。例外として、公示送達(公示送達については後述します)をするには当事者の申立を要します。送達を受けるべき者は、送達書類の名宛人のほか、訴訟代理人、法定代理人、刑事施設の長及び送達受取人です。
また、送達するべき書類というのは、民事訴訟法または民事訴訟規則で定められています。被告に対する訴状副本、訴え変更申立書副本、訴訟告知書副本、判決正本、仮執行宣言付支払督促正本などがそうです。送達の事務は、例外的に裁判所から送達を命じられることもありますが、基本的には裁判所書記官が独立の職務行為として行います。
送達場所の届出
送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所または事務所においてすることとされています。または、その場所において送達をするのに支障があるときは、就業場所においてすることもできます。
「送達をするのに支障のあるとき」というのは、たとえば、郵便配達員が住所に送達したところ、名宛人が留守だったため不在連絡票によりその受領を呼びかけたが、所定の期間内に受領されなかったため、書類が留置期間経過または受取人不在によって差出人である裁判所書記官に返戻されたような場合がこれにあたります。
住所等において送達するのに支障がない場合でも、就業場所で送達を受ける旨を名宛人が申述すれば、就業場所へ送達することもできます。会社勤めしている者が、日中は自宅にいなくて郵便物を受領できない場合などはそうしたほうがよいでしょう。
当事者や訴訟代理人等は、送達を受けるべき場所を裁判所に届け出なければなりません。送達場所の届出があった場合、その者に対する送達は、住所等ではなくその届出に記載の場所においてされます。
届出の方式や義務が生じる時期については、民事訴訟法には明記されていませんが、民事訴訟規則では、書面でできる限り訴状や答弁書に記載してしなければならないこととされています。
送達場所の届出をした場合、送達受取人の届出をすることもできます。たとえば、近所に親戚等が住んでいる場合、その親戚の住所を送達場所として届け出つつ、その親戚を送達受取人として届け出ることができます。
基本的な送達方法
- 1.交付送達
送達は原則、送達すべき場所において送達名宛人に手渡す方法で行われます。この方法を交付送達といい、送達方法の原則とされています。交付送達の特別な形態としては、補充送達・出会送達及び差置送達があります。
- 2.補充送達
補充送達とは、送達場所において名宛人に出会えなかった場合に、一定の要件のもとに名宛人以外の者に送達書類を交付する方法のことをいいます。一定の要件というのは、まず送達をすべき場所において送達名宛人に出会わなかったこと(留守など)。そして送達名宛人との間で一定の身分関係を有し(配偶者など)書類の受領について相当の心得のある者に書類を交付することの2つです。この補充送達は、就業場所で名宛人に出会わない場合において、その使用主や同僚等で書類の受領について、相当の心得のある者が書類の交付を受けることを拒まないときも可能です。
- 3.出会送達
出会送達とは、送達をすべき場所以外で名宛人に出会った場合、その出会った場所ですることができるという方法です。出会送達ができる要件は、名宛人が日本に住所等があることが明らかでなく、かつ送達場所の届出をしていないこと。または、送達名宛人が日本に住所等があることが明らかな場合で、出会った場所での送達を受けることを拒まないときです。わかりやすい例としては、郵便配達員が、受取人不在で書類を郵便局に持ち帰った後に、名宛人もしくは補充送達受領資格者が窓口に訪れ、それを交付する場合などがそれに当たります。
- 4.差置送達
名宛人、または同居者などが正当な理由なく書類の受領を拒むときは、送達をすべき場所にその書類を差置くことができます。これを差置送達といいます。この方法は、就業場所以外の送達をすべき場所で送達をする場合にのみ認められます。就業場所では、その使用主や同僚等が書類の受領を拒んだとしても、その場に差置くことはできません。
書留郵便に付する送達
書留郵便に付する送達とは、補充送達も差置送達もできない場合に、裁判所書記官が書留郵便によって実施する送達方法です。
「付郵便送達」(ふゆうびんそうたつ)と略して呼ばれることが多いです。これは居留守などをつかったりして送達を免れて、手続きの進行の妨害をしようとする名宛人に対して有効な方法です。というのも、この付郵便送達というのは、発送した時点で送達したものとみなされ、名宛人に到達したかどうかは関係ないからです。
といっても、当然のようにいきなり付郵便送達ができるわけではありません。
付郵便送達をすることができる要件は、 まず一つ目が補充送達も差置送達もできない場合であること。
次に送達場所の届出は有効にされていること。というように、実際に届出のある住所に送達したが、受け取らなかった場合というのが要件になります。そして調査した結果、被告がその住所等に居住していることが判明した場合、原告はその旨の調査報告書を作成し(実際にその住所に居住しいているか表札や電気・ガスのメーターが動いているかどうか確認したり、また近隣住民や管理人への聞き込みなどをします)、付郵便送達の申請をします。
公示送達
上記に記載しているように、送達は交付送達の方法で行うのが原則なのですが、名宛人の住所やその他送達場所が不明であれば、現実に交付することは不可なのです。そこで、実際に交付をしなくても送達の効力が発生する「公示送達」という送達方法を最終手段として認められています。
公示送達とは、名宛人が出頭すれば、いつでも書類を交付する旨を、裁判所の掲示場に掲示するという方法によります。現実に交付をするのではなく、交付を受ける機会を与えるだけで送達があったことにするという意味です。もし裁判所に行く機会があれば、掲示板を見てみてください。公示送達の書面が張られているのを実際に見ることができます。
公示送達は送達名宛人の住所等が不明な場合の最終手段なので、しっかりとそのことを証明する必要があります。
次のような要件に当てはまらなければ公示送達をすることはできません。
① 送達名宛人の住所・居所・就業場所などいずれも不明の場合
② 書留郵便に付する送達によっても送達することができない場合
簡単にいうとどこにいるのか全く行方がわからないような場合ということです。
「公示送達の効力」
最初の公示送達の効力は掲示の日から2週間を経過することによって生じます。なお、2回目以降の公示送達の効力は掲示日の翌日に生じます。
司法書士事務所尼崎リーガルオフィスからのアドバイス
訴訟を提起しても、訴状が被告に届かなければ実質的に裁判は始まりません。特に個人に対して訴訟提起をする場合、送達ができない場合が多いのも事実です。その場合、被告の住民票や戸籍の附表を司法書士が職権で取得して、現住所が判明することもあります。
本人訴訟を提起した場合に送達ができず、そこで訴訟を諦めてしまうケースもあるでしょうが、そういった場合でも別の方法を検討してみることはできます。
送達については司法書士事務所尼崎リーガルオフィスまでお気軽にお問い合わせください
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