本文へスキップ

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.06-6424-2705

〒661-0012 尼崎市南塚口町1-26-28 南塚口ビル本館403
メールでのお問い合わせはこちら

トップページ > 業務案内 > 成年後見・任意後見 > 成年後見事務円滑化法改正による実務対応Q&A > 回答

成年後見事務円滑化法改正による実務対応Q&A 


■メール便やゆうパックも回送嘱託の対象となるか

・ゆうパックやゆうメール、運送事業者のメール便は、回送嘱託の対象とならない
 レターパックは回送嘱託の対象となる。
・民間の運送事業者で回送嘱託の対象となりうるものとしては、佐川急便による「飛脚特定信書便」等がある

※民法860条の2第1項では、「家庭裁判所は、成年被後見人がその職務を行うに当たって必要があると認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第二条第三項に規定する信書便物を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる」とあることから、全ての「郵便・宅配物」が回送対象となるわけではない


■転送不要郵便についての取扱い

・転送不要郵便も郵便回送嘱託の対象となる

※家庭裁判所による回送嘱託があった場合には、転送不要郵便や本人限定受取郵便も、成年後見人に回送される扱いである。破産法上の同様の制度(破産法81条)においては、破産者に宛てた郵便物は、転送不要郵便や本人限定受取郵便についても破産管財人に配達する扱いが行われている。



■回送嘱託の申立は、保佐人・補助人・任意後見もすることができるか

・できない。成年後見人の権限についての規定が新設されたが、保佐人・補助人や任意後見人の権限については何も規定がされていないため、回送嘱託の制度は後見類型のみに限定して認められる。未成年後見についても同様にできない。



■どのような場合に回送の必要性が認められるか

・回送嘱託の制度は、成年被後見人の通信の秘密を制限する結果となるものであるため、やむを得ない場合の必要最小限の制度として許容されるのであって、成年後年人が任意の方法によっては本人宛郵便物等の存在及び内容を把握できず、後見事務の遂行に支障が生ずるような場合に認められるものと解されている。
・具体的には、「財産に関する郵便物等が配達される可能性」に加えて「成年被後見人が、自身に配達された郵便物等を管理することができない(ことが明らかである)」場合を総合的に考慮して必要性が判断される。



■回送嘱託先として認められるのは、後見登記事項証明書上の住所だけか

・回送嘱託先は、後見登記と必ずしも一致させる必要はなく、司法書士・弁護士等の専門職である成年後見人は、自宅住所を後見登記事項証明書上の住所としている場合であっても、事務所住所を回送嘱託先とすることが可能である。



■回送嘱託の審判をするにあたり、家庭裁判所は、必ず成年被後見人の陳述聴取するのか

・原則として陳述聴取が行われる。ただし、心身の障害によりその者の陳述を聴く事が出来ない場合にはこの限りではない。



■後見開始審判の申立と同時に回送嘱託の審判申立ができるか

・できない。回送嘱託の審判の申立ては、成年後見人が家庭裁判所に対して行う必要があるため。



■回送嘱託の審判の申立費用は、誰が負担するのか

・手続費用の負担の裁判において判断されることになる。



■回送嘱託の審判の後に成年被後見人の住所が変更した場合には、何か手続きが必要か

・新住所を回送の対象とする嘱託の変更の審判の申立てをする必要がある。

※回送の対象となる郵便物等は回送嘱託書に記載された住所(住所変更前の住所)に宛てられた郵便物等のみであり、回送嘱託の審判の後に成年被後見人が住所を変更した場合、変更後の住所に宛てられた郵便物等は回送の対象にならない。そのため、新住所宛の郵便物も回送の対象とするためには、新住所宛の郵便物等を回送の対象とする嘱託の変更の審判の申立てをする必要がある(民法860条の2第3項)。なお、原則として新住所宛の郵便物等についてのみ回送の対象とする審判がなされるので、前住所及び新住所宛の郵便物等の双方を回送の対象とする審判が必要な場合には、申立書にその旨を明記する必要がある。



■回送嘱託の審判を得た期間のみ回送を受けるだけでは、成年被後見人の財産の適切な管理に支障が生じる可能性がある場合にはどうすればよいのか

・従前の嘱託期間のみでは成年被後見人の財産関係を十分に把握することができなかった場合において、そのことについてやむを得ない事由があるようなときは、再度回送嘱託の申立てをすることも認められる。

※回送嘱託の期間は6か月を超えることができず(民法860条の2第2項)、審判後に事情変更を生じたときでも、回送嘱託の期間を伸長することはできない(同条第3項)が、上記のような事情があれば再度回送嘱託の申立てが認められる。



■回送嘱託の審判を得た場合、成年後見人から信書の送達を行う事業者に対して申出等をする必要があるか

・申出等は不要である。回送嘱託の審判がされれば、審判確定後に家庭裁判所から信書の送達の事業を行う者(日本郵便株式会社等)に対して、その旨の通知がされる(家事事件手続法122条2項)



■成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限として、民法873条の2が新設された趣旨は何か

・成年被後見人が亡くなると、成年後見は終了するので、成年後見人はその権限を喪失することになる。
 しかし、実務上死亡後の一定の事務を遂行するおkとを余儀なくされ、成年後見人が対応に苦慮している事実があり、実際に遺体の引取り、火葬、葬儀、医療費・施設費の支払いについては、対応を期待され拒むことが困難な状況が多く見受けられた。
・そこで本改正により、特定の相続財産の保存行為弁済期が到来した債務の弁済火葬又は埋葬に関する契約の締結等の一定の範囲の死後事務について成年後見人の権限に含まれるとしたものである。



■民法873条の2の「必要があるとき」とは、具体的にどのような場合か

・入院費や施設費の支払いを請求されているが、成年被後見人の相続人の連絡先が不明である等の事情により、成年後見人が支払をしないと、相当期間債務の支払がされないこととなる場合等が考えられる。



■民法873条の2の「相続人が相続財産を管理することができるに至るまで」とは具体的にいつまでか

・相続人に実際に相続財産を引渡す時までである。

※もっとも、成年後見人は、成年被後見人の死亡後2カ月以内に財産の管理の計算をし、相続人に成年被後見人の財産を引渡す義務を負っていることから、成年後見人が相続人に相続財産を引き渡さない限りいつまでも死後事務を行うことができると解することは相当ではない。
※成年後見人が相続人に対して相続財産を引き渡す義務を履行することができる状況にあり、かつ、相続人も、いつでも相続財産の引継を受けることができる状態になったときは、「相続人が相続財産を管理することができる」状態に至ったものと考えられるから、この場合には民法873条の2各号に掲げられた死後事務を行う権限を有しないとされている。



■民法873条の2第1号の「特定の財産の保存に必要な行為」とは具体的にどのような行為か

・特定の財産の現状を維持するために必要な行為である。
※債務の消滅時効の完成が迫っている場合の時効の中断、雨漏りする建物の修繕等がこれにあたり、家庭裁判所の許可なく成年後見人が行うことができる。なお、特定の財産の保存行為のために支払をする行為は1号に該当するが、支払のために成年被後見人の預貯金口座から払戻しをする行為は3号に該当すること注意が必要である。



■民法873条の2第2号の「相続財産に属する債務の弁済」とはどのようなものか

・成年被後見人が入院していた際の医療費や、成年被後見人が住んでいたアパートの賃料等で弁済期が到来している債務の弁済である
※遅延損害金の発生を防止し、弁済をしたとしても相続人に対して損害を生ずるものではないので、家庭裁判所の許可なく成年後見人が弁済することができるとされたものである。



■民法873条の2第1号又は第2号に該当する行為をするために預貯金の払い戻しをする場合には、家庭裁判所の許可は必要か

・必要である。民法873条の2第1号又は第2号に該当する行為をする場合であっても、その行為をするために成年被後見人名義の預貯金口座の払戻しをすることは、同条第3号の行為として家庭裁判所の許可を要する。



■民法873条の2第3号の「火葬又は埋葬に関する契約」に葬儀に関する契約は含まれるか

・含まれない。

※今回の改正は、一定の要件を満たす場合に「その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」が成年後見人の権限に含まれることを明らかにしたものであるが、葬儀に関する契約はこれに含まれない。葬儀は、遺体の火葬と異なり、公衆衛生上の問題ではなく、宗教上の形態と捉えられたことによる。
※立法段階では葬儀を含めることも検討されたが、相続人の意思、葬儀の実施費用の相当性を判断する難しさを考えて、3号の契約に含めないものとされた



■民法873条の2第3号の「火葬又は埋葬に関する契約」に納骨に関する契約は含まれるか

・含まれる場合もある。

※遺骨の引取り手がない場合には、成年後見人において遺体の火葬とともに納骨堂等への納骨に関する契約を締結することが考えられる。納骨に関する契約も「火葬又は埋葬に関する契約」に準じて家庭裁判所がその必要性を考慮した上で、その許否を判断するものになると考えられる。



■民法873条の2第3号の「火葬又は埋葬に関する契約」の費用を支払うために成年被後見人の預貯金口座から払戻しを受ける場合には、契約の締結と払戻の両方の許可が必要か

・両方の許可が必要である。



■民法873条の2第3号の「火葬又は埋葬に関する契約」を成年被後見人の死亡前に申立できるか

・できない。成年被後見人の死亡前に申立てをした場合には、「成年被後見人が死亡した場合」という法の要件を満たさないため。



■民法873条の2第3号の「火葬又は埋葬に関する契約」の締結の許可が間に合わないような場合には、どうすればよいのか

・事後の許可申立てもやむを得ないと考えられる。その際、事前に裁判所の許可を得ることができなかった事情を申立ての理由に記載することが相当と思われる。



■法改正により、遺体の引取りや火葬、埋葬が、成年後見人の義務になるのか

・義務とはならない。

※改正法は、一定の要件を充足している場合には、成年後見人が、遺体の火葬又は埋葬に関する契約の締結をすることができるものとしたが、改正法の施行前と同様、成年後見人の義務とするものではない。



■民法873条の2第3号の「その他相続財産の保存に必要な行為」とはどのようなものか

・相続財産全体の保存に必要な行為であり、これらの行為をしないと相続財産の全体において相続財産の総額が減少することが予想されるものである。
・具体的には以下のような行為が該当する。
イ:成年被後見にの居室に関する電気、ガス、水道等の供給契約の解約
ロ:債務を弁済する等のための預貯金の払戻し
ハ:成年被後見人所有動産の寄託契約の締結



■許可の申立て費用は、誰が負担するのか

・手続費用の負担の裁判において判断されることになる。



■数件の費用等を支払うための預貯金の払戻しを一括して求める許可の申立は可能か

・可能である。許可を求める個々の弁済ごとに支出の細目及び金額の疎明があり、申立内容から「必要があるとき」及び「相続人の意思に反することが明らかなときを除き」との要件の判断が可能な記載となっていれば可能である。



■相続財産管理人選任の申立て及び申立費用に充てるための預貯金の払戻しは、家庭裁判所の許可が必要な行為に当たるか

・相続財産管理人選任の申立てに許可は不要であり、また、その申立費用に当る為の預貯金の払戻しはできない。

※利害関係人として行う相続財産管理人選任の申立ては、民法873条の2第3号に該当しない。民法952条又は民法918条の相続財産管理人選任の申立ては、成年後見人としての死後事務ではなく、利害関係人として行うものであり、今回の法改正による変更はない。
※この場合、成年後見人が管理をしている現金や預貯金を申立費用(予納金を含む)に充てることはできず、預貯金の払戻しは民法873条の2陀い3号の許可の対象とならない。
※これらの費用は、通常は相続財産管理人選任の審判と同時にされる手続費用の負担の審判において相続財産の負担とされるので、申立人が立替え、後日に清算することになる。



■成年後見人が家庭裁判所の許可を得ずに民法873条の2第3号に該当する行為をした場合はどうなるか

・無権代理行為となり、当該行為の効果は相続人に帰属しない。
※改正法の施行後も、応急処分義務(民法874条で準用する654条)や事務管理(民法697条)の規定を根拠として、成年後見人が死後事務を行うことが否定されるわけではない。したがって、民法873条の2第3号に該当する行為であっても、それが応急処分に該当すると認められるときは、成年後見人が家庭裁判所の許可を得ることなく、その行為をすることも許容される。



■相続人全員の同意がある場合には、民法873条の2第3号の行為をするにあたり、家庭裁判所の許可は不要か

・必要である。
※成年後見人としてではなく、相続人全員から委任を受けて相続人全員の受任者として、その行為をするのであれば、家庭裁判所の許可を得る必要はない。



■保佐人・補助人・任意後見人及び未成年者後見人も、改正法による死後事務ができるか

・できない。
※改正法の対象は成年後見人のみであり、保佐人・補助人・任意後見人及び未成年後見人は含まれない。ただし、従前どおり応急処分として認められる範囲で又は事務管理として死後事務を行うことは可能である。



■成年後見人が民法873条の2第2号の弁済等をした場合、相続人が単純承認したものとみなされるか

・単純承認とはみなされない。
※成年後見人は、相続人に代わって死後事務を行うものとはいえ、相続放棄等をする権限は有していないので、成年後見人が死後事務として相続財産の処分等をしても、相続人につき法定単純承認の効果は生じないと考えられる。



■従来の死後事務の取扱いは認められなくなるのか

・今回の法改正では、従来の取扱いに影響はない

※成年後見人は、改正法の施行後も従来どおり、応急処分として認められる範囲内で死後事務を行うことが可能である。また、応急処分として認められる範囲とは言えない場合でも、事務管理として死後事務を行うことが許容される。
※応急処分義務は、「急迫の事情があるとき」という限定された場面に関する規定である。これに対し、民法873条の2は、「必要があるとき」その他一定の要件を充足している場合において成年後見人が同条各号に規定する死後事務を行う権限を明確化した規定である。
※民法873条の2を新設した理由は、応急処分を行うにあたり、どのような場合に「急迫の事情がある」「必要な処分」と言えるのかが明確でないため、実務上、成年後見人が対応に苦慮する場合があるという問題を解決するためであると説明されている。




司法書士事務所
尼崎リーガルオフィス
Amagasaki Legal Office
司法書士事務所尼崎リーガルオフィス

〒661-0012
尼崎市南塚口町1-26-28 
 南塚口ビル本館403
TEL 06-6424-2705
FAX 06-6424-2706



個人情報保護方針

サイトマップ
対応可能地域:兵庫県尼崎市、伊丹市、西宮市、川西市、猪名川町、宝塚市、芦屋市、神戸市(全域)大阪府大阪市(全域)、池田市、豊中市、箕面市、吹田市
       上記以外の地域でも対応可能な場合がありますのでお問い合わせください。
※手続きの受任に際しては、事務所または依頼者の方の指定する場所で司法書士との面談が必要となります。司法書士が出張する場合で原則として往復1時間以上要する場合には交通費実費と日当が加算される場合がございます。