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■ 司法書士事務所尼崎リーガルオフィスの司法書士から司法書士受験生の方へ
 最初に

 私が司法書士試験に合格したのは平成18年のことです。
 合格後、すぐに司法書士登録をしましたので、司法書士歴としてはこのページを作成している平成22年2月現在で、まだ3年ちょっととなります。

 そのため、まだまだ司法書士業務についての知識も不十分ですし経験も少なく、司法書士受験生の方に偉そうなことを言える立場ではありませんが、自分自身がなぜ司法書士になろうと思ったのか、司法書士試験の勉強をどのように進めたのか、司法書士になって感じることなどをここに書くことでいつまでも初心を忘れないようする意味でこのページを作成しました。もし司法書士を目指す方がこのページを見ていただき、何でも感じることがあれば幸いです。



 司法書士になろうと思ったきっかけ

 
私は大学卒業後、東京にある旅行会社に就職しました。学生時代にアメリカに留学していたこともあり、旅行が好きだったこと英語を生かした仕事がしたいと思ったこと、接客業がしたいと思っていたことから、旅行業者を第一志望にして就職活動をしました。・・・安い給料、深夜までの残業、お客様からのクレーム、ツアーで発生したトラブル、、などつらいこともありましたが、自分が好きなカナダとアメリカのツアー企画・手配・添乗を経験できました。そして、3年間勤務した後に、同じ旅行会社のカナダ・バンクーバー支店に駐在することになり、あこがれの海外勤務を果たしました。

 バンクーバーでは、日本と違い残業はありません。日本社会と違って、家族との時間を仕事以上に大切にするのが当たり前ですので、むしろ残業をする人は変な目で見られます。最初はとまどいながらも、仕事とプライベートの時間を両立して、これからの人生をカナダで過ごそうとも思い始めたころ、日本にいた父が事故でなくなったとの電話がありました。

 父は何かと自分で作業する、いわゆるDIYという日曜大工が好きで、その日も廃材をチェーンソーで切断していたそうです。その当時、父の母(つまりは私の祖母)が亡くなって半年くらい。祖母の相続人(父の兄弟、私の叔父・叔母)で相続に関する協議を家庭裁判所で行うことになっており、父もそれを考えて悩んでいたんだと思います。そのためか、ふだんは機械の操作を誤ることのなかった父ですが、チェーンソーを使い方を誤って太ももに当たってしまい、失血死しました。

 父の死の一報を受け、さっそくその日の航空券を手配し(この辺は旅行会社ですので、素早く手配しました!)、すぐに帰国をしました。帰国後、葬式や相続などあわただしく時間が過ぎたのは、ご両親や親族のお葬式を経験した方はおわかりになると思います。

 父は宅建業を営んで、株式会社を設立していました。私はまったくその業務にかかわりなく、せいぜい所有していた賃貸物件の掃除を手伝う程度でした。私が父の仕事を引き継ぐかどうかは別として、宅建業のことを知ってないと何にもわからん、ということで宅建主任者の試験を受験することにしました。

 父が亡くなったのが平成15年5月です。8月ころにカナダに戻る際に、書店で問題集を買い(らくらく宅建塾という本で、とてもわかりやすかったです)、10月の試験に備えました。それが私が法律を勉強した最初です。それまで、旅行会社では<旅行業法>を勉強した程度でしたので、民法ってどういう風に勉強したらいいの?とおっかなびっくりでしたが、いざ勉強してみると生活に密着した部分も多く、法律に興味が湧きました(宅建主任者試験は合格しました)。

 また、その時期に祖母の相続についての調停(家庭裁判所)に、父の相続人として出頭することになり、弁護士さんにお世話になりました。調停に際して、<どういう仕組み>で<どういう意見>を言うことができて、<どういう選択肢があるのか>がわからぬままに終わってしまい、結果はともあれ、そのプロセスを理解できないままだったことがすっきりしませんでした。
 
 法律の専門家である裁判所の調停委員や弁護士の間では、<ま、この件はこういう解決が妥当でしょうね>という話し合いや認識があったかもしれませんが、一般素人で裁判所にいくのも初めてという自分にとっては、もっと説明があってもよいのではないか?自分だったらこう説明して、こう対応してただろう。と思ったことが司法書士になるきっかけと言えます。そして、そのきっかけは父が与えてくれたものです(だからこそ、私は司法書士となった今も、父に恥じないようにまっとうに業務をする責務を感じています)。

 法律を勉強してみよう!と思ったものの、どんな資格があるのかわかりません。弁護士は知ってましたが、司法試験を目指すには素地がないし何年も時間を費やせないし(*平成16年に旅行会社の後輩でカナダにも一緒に住んでいた彼女と結婚して生活を維持する必要がありました)、どうしたもんだろうか? と受験予備校にいって相談してみました。

 大阪にあるLECという受験予備校で相談したところ、司法書士という法律資格があり、司法試験ほど困難な試験ではないし、従前の登記業務に加えて、簡易裁判所で訴訟代理権も付与されるようになり、注目の資格です!と言われて、具体的に司法書士試験を目指すことにして、毎週2日は夕方6時から9時まで働きながら予備校に通いました。

 このときが初めて司法書士を目指したときであり、同時に、司法書士という資格の存在を知ったときです。

 ・・・余談ですが、司法書士の認知度はさほど高くないように思います。弁護士は誰もが知ってます。行政書士もマンガやテレビドラマにもなっています。ですが、司法書士はというとあまり知られてません。知人に何の仕事してるの?と聞かれて、司法書士と答えても、あー、あのテレビでやってる法律のやつね!・・・それは行政書士です。マンションを購入した方は、あー、銀行でお金を払うときに出てきた人ね!という認識です。マンションを買う場合、一番話をして関わりのある人は不動産仲介業者の担当者です。その次は住宅ローンを申し込んだ銀行の担当者。で、司法書士はというと会って数回です。いずれにせよ、司法書士でない方、司法書士関係者でない方で、司法書士の職務内容を言える方はほとんどいないように思えます。



 司法書士試験の勉強

 
そんな感じで司法書士試験をたまたま知った私は毎週2日予備校に通う期間が続きました。予備校に通い始めた当初は、働きながら通っていました。そうすると、予備校のある日は残業ができません。旅行会社は基本的に尋常ではないほど忙しく残業は当たり前です。上司や周囲の同僚は、私が司法書士試験を目指していることに理解してくれ、<早く帰りなよ>と言ってくれるのですが、後輩に残業をさせて帰社することもストレスにあり、半年ほどで辞めました。

 その時は、奥さんが働いており、私が主夫をしてあとは勉強という生活をすることになりました。

 ・・・私の同期の司法書士でいえば、いろいろです。正社員として残業もしながら独力で勉強して合格した人。大学在籍中に試験に合格した人。主婦をしながら勉強を続けて合格した人。私と同様、奥さんが働いて受験勉強に合格した人。受験勉強に専念するためパチンコで生活費を稼ぎ!?合格をした人。

 誰でも共通して言えるのは、誰かの支えがあったから、そして何かを犠牲にしたからこそこそ合格に結び付いたんですね。
 
 司法試験と比べれば、司法書士試験は簡単です。ですが、それなりに勉強することは必要です。いい大人が、毎日何時間も勉強をすれば、その間の用事ができない→家族の誰かがやる。仕事をしている人が、試験勉強をする→試験勉強をしない人と比べれば仕事量は下がる。遊びだってです。飲みに行く時間を削って勉強すれば、飲みに行く時間を犠牲にしたわけです。そうやって、家族や知人の協力や自分の他の欲求を犠牲にして、みな司法書士になっているということです。

 具体的な試験勉強としては、まずは一通り各科目を勉強していきます。民法、不動産登記法、商法、会社法、商業登記法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法、司法書士法、刑法、憲法 と私の通っていた予備校では1年ほどかけてこれらの科目を勉強していきます。といっても、初めて勉強する科目だと知識が定着するまで、次の科目になってしまい・・・の繰り返しで、1年が終わっても全体をぼんやりとしか理解できていない状態でした。

 一通り、科目の勉強が終わると、答練と呼ばれる実践形式の問題を解く講座を受けました。なんとなくよかったり悪かったりで、その年に受けた試験ではおそらく半分も正解になっていなかったと思います(何か奇跡がおきて、受かるんじゃないか!?と期待していましたが、実力不足ゆえに奇跡は起こりませんでした)。

 2年目も引き続き主夫兼専業受験生として、受験予備校に通いました。2年目になって変わったことは、改めて全科目のおさらいができ、法律と法律のつながりが見えたことです。たとえば、不動産登記法・商業登記法というのは手続を決めたにすぎません。どのような不動産登記、商業登記をするかは、その前提として民法や会社法という実体法によって定まっているので、それぞれの法律がリンクしてくるのです。となると、わからない問題が出てきても他の法律で考えればこういう解釈ができる!と考えることで正解が推測できるようになります。また、1年目にはなかった発想としては立法趣旨を考えたことです。この法律は誰を・何も保護するために作られたのか?を理解すれば、細かい内容がわからなくても、正解への誘導ができます。

 以下、試験勉強について私が行ったことを項目ごとに書いてみました。これはあくまで私のとった方法ですので、すべての方にあてはまるとは思いませんが、、。


  
過去問

 
周囲の受験生では、もう10回解いた、という話も聞こえてきましたが、私は過去10年分をせいぜい3~4回、解いただけです。過去問はやはり解くべきです。試験の傾向、問題形式に慣れる意味があります。ですが、過去問は同じ問題はこれから出ません(同じ趣旨の問題は出るでしょうが、まるっきり同じ問題は出ないという意味)。なので、過去問の言葉を覚えるほどに問題を解くことは時間の無駄と思っていました。

  
間違いノートの作成

 
過去問や答練の問題で間違えたものを、問題と解説を含めて、手書きで書きうつしました。最初は間違いが多く、間違いノートも膨大な量になります。正直、書き写す作業が大変ですが、その大変な作業は正解すればやらなくてもよいので、間違えたことに対する自分へのペナルティの意味を込めてこの作業をしてました。そして、書くことで記憶していくのです。間違いノートを作ると、何度も同じ問題で理解できていないことも気づきます。そのときは、法律の解説書を読みこんでじっくり理解するようにしていました。間違いノートの問題は、司法書士試験の前に重点チェックをして、完全に理解したものは破って捨てました。そして、試験の直前には間違いノートがなくなるようにしました。

 
 他人に教える

 
どのプレゼンテーションをするにしても、誰が一番そのテーマを理解しているのか?というと発表者ほかありません。他人に教えるには、教える内容を理解することが必要ですし、質問が来ればそれに対応しなければなりません。司法書士試験の場合、科目数が多く、過去問を解いて覚えて・・・の繰り返しでは理解が十分でないこともあります。そこで、法律の勉強をしていない他人に教えるのです。私の場合は、妻や、妻が忙しいときには犬に教えてました。犬はさすがに質問してこないのですが、妻の場合は素朴に<なんでそうなの?こういうときはどうなの?>と聞いてくれますので、それを教えることで理解が深まったと思います。

 
 受験生仲間

 
私は司法書士受験時代には、同じ受験生仲間と呼べる人はいませんでした。というか、仲間はつくらないようにしていました。そもそも、勉強は一人でするものですし、勉強でわからないことは本に載ってます。それでもわからなければ予備校の講師に聞けばよいのです。予備校の中でも、仲良しグループを結成している方はいましたが、他の人と話(しかも雑談)をするならちょっとでも勉強したかったですし、飲み会などを司法書士受験生でする意味がわかりません。私は家族がいましたし、生活を維持する必要もありました。だから、早く司法書士になることをプレッシャーにして、一人でもくもくと勉強していたため、受験生仲間はつくる必要がないと思っています。ただ、司法書士になってからは別です。司法書士仲間は絶対に必要です。初めての事例への取り組み、アドバイス、いろんな情報を共有する司法書士の同期や先輩のつながりは積極的に持ちましょう。

  
六法

 
受験予備校では<判例六法>を買うように勧められ、私も購入しました。が、持ち歩くには重い!のです。私の場合、受験時代にはあまり六法を見ませんでした。司法書士になってからは、判例六法は必需品ですが、受験生の場合はそこまで深いりする必要もないように思います。といっても、六法を全く見ずに受験をすることはできませんので、文庫版サイズの六法を必要なときに見るようにしていました。

  
勉強の場所

 
受験予備校にも自習室はありますが、自宅から予備校のある大阪・梅田までの往復時間(と電車代)がもったいなかったので、地元の図書館の自習室に朝9時から18時までこもって勉強しました。地元の図書館は五月山という山の中腹にあり、自転車で運動をかねて往復してました。勉強ばかりしてても、体がなまってしまいます。私の場合は、図書館への自転車移動が定期的な運動でした。あと、趣味でもある温泉ランドやサウナもたまに行ってましたね。

 
 本試験当日

 
大阪では関西大学、神戸では甲南大学が司法書士試験の会場となっています(*変更の場合もあると思います)。私は大阪で受験したので、関西大学に行きました。関西大学には阪急千里線に乗っていくのですが、混みます! 同じ日に別の国家試験(電気・・技術?関係の試験だと思います)も行われてますので、行きも帰りも混みます!電車の切符(またはラガールカードやPITAPA)は予め帰りの分も確保しておきましょう。

 あまりに早く会場に行く必要はありません。また、会場で最後の勉強をするためか、六法や参考書まで大きな荷物をもっている受験生もいますが、かなり意味ありません。重い荷物を持つだけ体力の無駄です。試験当日に六法読んでどうなるわけでもないので、自分でまとめた間違いノートや試験会場に入るまでに予備校関係書の配る直前チェックを見るくらいで大丈夫です。筆記具は不足なく、時計も正常に動くことは確認しておきましょう。

 私が試験当日あえて行ったことは、試験中にトイレにいくことです。別にトイレに本来の目的があっていくわけではなく、長時間の試験で座りっぱなしだと頭も疲れます。なので、トイレにいってストレッチをして、冷たい水で顔を洗うと集中力も続きますし、どっちだろう?と悩んでいた問題が意外に解けたりするものです。

 また、午前の部が終了して小一時間休憩となりますが、その間も一人で過ごした方がよいです。自分のペースで調整しましょう(友人と午前の問題は難しかったね、簡単だったねと批評することは無意味です)。


  
筆記試験後

 
司法書士受験生が試験の手ごたえは問わず、一番ホッとする日でしょう。私も試験後は買い物にいったり、友人と飲みにいったり、マンガやドラマを見ダメしたり・・・と1~2週間はゆったりと過ごしました。1年目の受験では、どう考えても落ちてましたので、しばしの休息の後はすぐに試験勉強を再開しました。2年目の受験の際は、試験の帰り道で配られていた各予備校の予想回答を見ると、合格するのでは!?という期待があり、しばらくはネットで試験解答速報や2ちゃんねるを見まくってました。

 私は2回目の試験で受かりましたが、その年の模試や答練では、直前になってもC判定・D判定がほとんどで、本試験で取った点数が過去一番よかった・・・という奇跡的なものです。

 思えば、答練ではマニアックな問題が多かったような気がします。やはり、各予備校とも毎年問題をつくるわけですし、本試験より易しい問題は立場上作りにくいのでしょう。

 ですので、直前の模試や答練でよい結果が得られなくても、それ自体気にすることはありません。マニアックな問題を正解するよりも、他の受験生のほとんどが正解できる問題を正解できる力をつけていれば大丈夫です。

 ・・・といいつつも、たまたまマニアックな問題を答練で経験してたり、出題される分野(特に書式)の不得手という運もあるのは事実でしょうので、運を高めることも必要かもしれません。
   
 明らかに不合格の場合、休憩後はすぐに勉強を再開できる気持ちの切り替えができるのですが、合格かも?と思う場合が難しいですね。私も、不合格だった場合を考えて、勉強を再開したものの、合格している可能性があったので本腰を入れることができませんでした。予備校によっては、合格していた場合には授業料を合格後に全額返金してくれる制度もありますので、できれば予備校などで時間的に拘束されながら勉強をしてみるのもよいでしょう。


 
 口述試験

 
口述試験を受けるということは、筆記試験に合格されたわけです。おめでとうございます!口述試験は問題なくクリアできます。といっても、ある程度の準備は必要ですが、各受験予備校で無料の対策講座が行われていますので、そこで配られる問題を準備しておけばもう大丈夫。
   
 私が受験した際は、大阪法務局で行いました。たしか、大阪府での受験生だけでなく近隣の関西圏の口述試験受験生が大阪法務局に集まったように思います。午前と午後に分けられ、和歌山や奈良などのちょっと遠い組は午後に、大阪や兵庫などの近隣地域は午前になっていたのではないでしょうか。

 集合してから、くじ引きで準番を待ちますが、この順番次第で2時間ほど待つ場合もあります。待っている間も、原則として待合室に座ってないといけませんし、そこでは監視員もいますので、周囲の人と話したり、タバコ休憩も無理です。

 試験は、別室に案内されて、司法書士業務のこと(司法書士法に基づく業務)や登記業務(こんな場合どうする?といった不動産登記・商業登記のこと)を聞かれたように思いますが、特に問題なく終わります。

 服装は規定なかったように思いますが、やはり常識をもってスーツ・ネクタイはすべきでしょう。受験生の中には、ジーパンとシャツというまるで私服の方もいましたが、それを理由に不合格にはならないと思いますが、社会のルールは理解すべきですね。




 司法書士試験合格後にやること

 
合格後にはいろいろとやることがあります。ですが、合格したのですから、気軽に楽しくその準備をしていけばよいでしょう。各予備校では合格祝賀会や合格体験記なるものの執筆依頼もあると思います。祝賀会はお世話になった予備校ですから、時間があれば行ってみればよいと思います。今までは講師の先生でしたが、合格すれば同じ司法書士(資格者)です。学ぶべきところは当然、まだまだありますが、司法書士としての視点でお話をされると新たな発見もあるはずです。合格体験記はお小遣い稼ぎに書いてみるとよいです。なぜ司法書士を目指したのか、自分なりにどういう勉強方法をしたのかなど、合格体験記を書くことで自分のやってきたことを振り返る意義もあります。

 現実として、合格後には日本司法書士連合会で行われる新人研修への参加手続き、各都道府県にある司法書士会や司法書士青年会が主催する勉強会・歓迎会も地域によってはあります。

 新人研修は必ず合格年度に受けるべきです。試験勉強の知識を実務で使うにはどのような発想転換が必要か、実務では何に留意すべきなのか、という視点から、著名な講師の方の講義を受けるチャンスです。

 また、ここで出会う同期は自分が独立開業してからも続くものです。私も、平成18年に合格してから、現在も同期の方とは連絡をとっており、勉強会をしたり、事務所経営について酒を飲みながら話したり、実際の受任した事件についての相談など同期がいなくては今のように独立開業して業務をすることも困難な場面があっただろうと思います。

 合格後、どこかの事務所に勤務したり、すぐに独立をする場合もあるでしょうが、そんなにあせることはありません私の場合はあせって就職しましたが、結果として1年たたずに辞めることになりました。その事務所の経営方針にまったく同意できなく業務以外でのトラブルも多かったからです。

 もし年齢が若い合格者であれば、あえて司法書士業以外の業種の仕事を体験してみるのもよいでしょう。

司法書士の仕事は、不動産関連会社からの依頼も多いですが、一般市民の方からいただく相談内容は多岐に渡りますそういった際に、他の業種での勤務経験があると、知識 ではなく 体験 した視点から、問題解決を図ることができます。

 行政書士試験の受験も検討してみてはどうでしょうか弁護士や税理士は、その試験に合格すれば行政書士登録を無条件にすることができます。行政書士として扱う分野と司書士  として扱う分野は異なる部分も多く、たとえば農地の所有権移転となると、登記申請は司法書士として行いますが農地法の  許可は行政書士として行います。遺言書の作成のみの依頼は司法書士として行うことはできませんが、行政士はできます。

  ・・・私自身、合格して3年後に行政書士試験を受験しましたが、わかっているはずの民法や会社法ですら、記憶の海馬から流れ出し、さんざんな結果でしたので、司法書士試験合格直後の記憶が続いている時期こそが行政書士試験を目指すチャンスです。

 勤務先、あるいは独立開業については、安易にしないよう気をつけてください。私もそうですし、私の同期の多くも、インターネットやハローワークに募集を掲載している司法書士事務所に行き、よくわからないままに採用され、いいように使われるケースはあります。司法書士登録をして、司法書士として業務を行った場合、その責任はあなたが負うことになります。事務所のボスが言ったからやっただけだ、という言い訳は通用しません。事案によっては、懲戒処分をあなたが負うこともありますので、司法書士の責務を自覚して業務ができる状態を常に保って下さい。

 司法書士に合格された方で、これからどうすればいいんだろう?という方。
各地の司法書士会には、会長・副会長・理事がいます。また、相談会なども開催しており、そこには先輩司法書士がいます。

  同じ司法書士として(登録をしない間は司法書士ではないですが・・・)、よりよい業務がしたいという気持ちは同じですから、相談会や会長などにお話させてください!と話しかけてみて下さい。きっと、快く応じてくれるでしょう(私もそういった申し出は大歓迎でお受けいたします)。




 司法書士になってから思うこと

  
やはり司法書士試験合格のための試験勉強とは違います。実務をするにあたって、試験勉強で得た知識はもちろん必要です。ですが、たとえば不動産登記や商業登記についていえばふだん受任する仕事で、<株式分割>や<根抵当権一部移転仮登記>などはまずありません。ですが、単純な相続登記や役員変更であっても、試験問題ではなく、実際に実在している依頼者の方からの依頼なのです。試験ではないですから、登記申請するにあたって書籍を見てもOKです。ですが、決して間違いは許されない緊張感は実際の依頼だからこそあるものです。

  また、一般法律相談や訴訟事案では、試験科目にはなかった法律の知識が不可欠です。消費者トラブルでいえば、消費者契約法・特定商取引法。多重債務でいえば、利息制限法・破産法・再生法。こういった知識は自分で勉強していくしかありません。幸いなことに、司法書士会では多くの研修がありますので、そこに参加することも大切です。司法書士である限り、勉強していくことは永遠に続きます。

 また、周囲の先輩司法書士や同期との関係が大切であるのは上記のとおりですが、税理士や弁護士、社会保険労務士など他の資格者との交流も大切です。相談に来られた依頼者の方に、「これは私ではわかりません」では依頼者の方にとっては不親切でしかありません(もちろん、知らないことを適当に言うべきではありませんが、少なくとも相談を受けた司法書士が他の専門家とネットワークをして解決に結びつけることは重要です)。

  司法書士になってからいろいろな事件を受任してきました。まだまだ知識・経験ともに不足をしていますが、依頼者の方によい結果をもたらすことができたときの充実感はあります。逆に、お役に立てないもどかしさも感じます。

 これからも司法書士としての職責を自覚して、日々の研鑽を積んで、よりよい業務にあたりたいと思う所存です。



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